今宵のお供は、Rod Stewart『Atlantic Crossing』に決定。
厳しいもので娯楽に関しても居場所が少なくなってきてしまったこの頃だ。CDの売り上げが悲鳴を上げるほど悪いらしい。CDのレンタル化が認められた時、将来的に売り上げが落ちることは火を見るより明らかだったが、よもやネット配信による売り上げ減につながるなんて夢にも思わなかった。そもそもネット配信なる言葉すらなかったし・・・。大小のレンタルCD屋で借りても盤のコンディションが悪くてうまく再生できないことなどしょっちゅうだ。ネット配信は、その点での心配をする必要がないというのは大きな強みだ。しかも店まで足を運ばなくても良い。まさに至れり尽くせりである。これはレンタルの映像にも同じことがいえる。
ただ、アナログレコード時代の貴重な体験というかワクワク感を失ったということでは、CDもネット配信も同じ。30センチ四方のアルバムカバーはアナログ時代はアートしていた。縦横同じ比率なんてまさに今時代のインスタと同じである。改めて思うと不思議な気がする。
更に一番の大きな違いは、アルバムに表と裏があったこと。A面とB面だ。このロッドのアルバムもまさにその時代の作品でA面とB面とがあった。分かりやすく、線-----を入れてみた。線より前の5曲が当時は主に「Fast Side」といわれたテンポの速い曲。そして線より後が「Slow Side」といわれたバラードの曲だ。全10曲で45分程度の収録時間だから、片面約23分。CD以降の時代のように1曲目から最後の曲まで一気に楽しめむことはできないが、聴く時の気分でどちらかの面を選べることは楽しかった思い出しかない。
そんな時代。町にはロック喫茶なるものがあった。いろいろなアルバムを家では聴けないほどの大音量で聴かせてくれるバーとも喫茶店ともいわれる店だ。今時のように著作権法も整備されていない緩い時代の話である。当時のロック喫茶では、今流れている曲のアルバムと次にかける予定のアルバムのアルバムカバーを見えるように掲げていた。要するに予告である。
そんな予告でこのアルバムが次に見えると、お客はどちらの面がかかるのだろう?と興味を持つことになる。なぜならばロック喫茶では片側面だけかけるのが他の店舗も皆同じの共通のシステムだったからだ。ロッドのこのアルバム・・・。速いテンポ側?バラード側?どっち?皆、興味を持つわけである。知るのは盤を回すDJのみ・・・ということだ。
さて、いよいよこのアルバムがターンテーブル上で回り始める・・・。ダダッタ、ダダダタ・・・なら、01. Three Time LoserでFast Sideだ。チャララララ~ンなら、06. I Don't Want To Talk About ItでSlow Sideである。ま、こんな感じである。
懐かしがってばかりではイカンが、不自由さと不便さの中で見つけた喜びは、今の便利な喜びよりも強く残っている気がするなぁ。単なる回顧主義なのかもしれないが・・・。1975年(昭和50年)リリース。
01. Three Time Loser
02. Alright For An Hour
03. All In The Name Of Rock 'N' Roll
04. Drift Away
05. Stone Cold Sober
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06. I Don't Want To Talk About It
07. It's Not The Spotlight
08. This Old Heart Of Mine
09. Still Love You
10. Sailing
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Rod Stewart
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