DAVID BOWIE / 1978.12.12 / NHKホール

デヴィッド・ボウイのコンサートは今まで5回見たことがある。
1973年はグラム・ロックの雄として、1983年のシリアス・ムーンライト・ツアーは最上級のエンターテナーとして、1990年のサウンド・アンド・ビジョン・ツアーはボウイの集大成のコンサート、TIN MACHINEに関してはいまだによく分からないコンサートだった。そして1978年のコンサートはSTATION TO STATIONやLAWを中心にした構成でボウイの一番アバンギャルドでワイルドかつ繊細なコンサートとしていまだにファンには語られているものだった。
この他に80年代後期にグラス・スパイダー・ツアーというコンサートがあったが、この時はステージセットの骨組みとなった蜘蛛をデザインしたセットが日本の会場では設置できない(ドームでも無理だった)ということで来日公演は実現しなかった。

78年のコンサートは日本武道館とNHKホールで行われたが当時は武道館は会場が大きすぎるということと音響が最悪ということで音楽ファンには今イチ評判の悪い会場だった。今ではビッグ・ネーム・アーティストのコンサートはほとんどが東京ドームだから武道館でやるとなると小さいホールで見られるということになるから時の流れとは恐ろしいものだ。
で、78年のボウイのコンサートはNHKホールで見ることができた。NHKが時々放送していたヤング・ミュージック・ショー(恥かしい番組名だなぁ)の収録があったからNHKホールのコンサートが実現したのだと思う。

オープニングはギターのカルロス・アルマーが指揮棒を持って指揮者のごとくサウンドを操る『ワルシャワの幻想』。ボウイも演奏者の一員となってキーボードを弾いていた。ステージ右手のキーボードを弾いていたのはトッド・ラングレンのユートピアのメンバー、ロジャー・パウエル。そしてこの時はまだ無名だったギタリストのエイドリアン・ブリュー。エイドリアン・ブリューはこの曲では出番がないらしくギターを持ってただニヤニヤしているだけだった。しかもスーツのズボン風のワイドパンツの中にアロハシャツをズボンに入れこんでいるという妙ないでたちが印象的だった。
ほとんどインストゥルメンタルだった「ワルシャワの幻想」の後は、妙にリズムがうねっている『ヒーローズ』が始まる。この1曲のサウンドでこの日のコンサートのできがものすごく良さそうだと予感させるにじゅうぶんなサウンドだった。
案の定、その後の曲は濃厚なサウンドで前半部のピークは『フェイム』でむかえた。エイドリアン・ブリューのプログレ的なギター・ワークとロジャー・パウエルのこれまた個性的すぎるキーボードの絡み合いは絶妙を通り越して鳥肌ものだった。
そして次の『美女と野獣』が終わったところで第1部が終了。当時、1部と2部に分かれているコンサートなどなかったのでこの構成にも観客は驚いた。

興奮醒めやまぬまま第2部と移る。暗闇から聴こえてくる単調などラムの音・・・大ブレイク・アルバム「ジギー・スターダスト」からの『5年間』だ。この曲から『サフラゲット・シティ』まで一気にボウイのロック・スターとしての本領発揮のシーンが続いた。ロックン・ロールぽい曲が多いがロジャー・パウエルとエイドリアン・ブリューがいる限りありきたりのロックン・ロールなどになろうはずもない。会場は音の渦でまさにプログレ・ロックン・ロールといった感じだった。
そしてコンサートはこの日の極みともいえる『ステーション・トゥ・ステーション』へと進み最高潮をむかえる。
アンコールの『TVC15』『ステイ』『愛しき反抗』でもサウンドのうねりは続き、コンサート終了後も心地よい疲労感に見舞われたのは私だけではなかったと思う。
ステージ後ろに無数に配列された蛍光管のモノトーンを基調にした照明がショーをサポートしていたのも印象的だった。

幸いこの時、NHKで放送されたヤング・ミュージック・ショーのビデオが家にあったので見てみたが、今見ても全く色あせることなくボウイの充実期のライブとして立派に再現されていた。私の宝物のひとつとして永久保存版になるであろう。
ちなみにこの時期の貴重なライブ音源はアルバム「STAGE」としてリリースされている。

■バックアップ・メンバーズ■

エイドリアン・ブリュー(g)
カルロス・アルマー(g)
サイモン・ハウス(vn)
ジョージ・マレイ(b)
チェスター・トンプソン(dr)
シン・メイズ(key)
ロジャー・パウエル(key)

■演奏曲目■

第1部:
-ワルシャワの幻想
-ヒーローズ
-ホワット・イン・ザ・ワールド
-ビー・マイ・ワイフ
-ジーン・ジニー
-ブラックアウト
-疑惑
-壊れた鏡
-フェイム
-美女と野獣

第2部:
-5年間
-ソウル・ラブ
-スター
-君の意思のままに
-ジギー・スターダスト
-サフラゲット・シティ
-アートの時代
-アラバマの月
-ステイション・トゥ・ステイション

アンコール:
-TVC15
-ステイ
-愛しき反抗

ELTON JOHN / 1974.2.2 / 日本武道館

今週エルトン・ジョンの来日公演が行われたばかりだ。実は、行こうか行くまいかとさんざん迷って結局、行かなかったのだが、公演日が近づくにつれて後悔してきていたのだった。こういう後悔するコンサートは、だいたいが後に話題になるコンサートだったりするからますます後悔してしまうのだ。

1974年のコンサートはエルトン・ジョンの2度目の来日公演だった。この年の私は、1月にシルバー・ヘッドを見てマイケル・デバレスの期待はずれの容姿に落胆し、期待していなかったロリー・ギャラガーではその熱きステージに圧倒された。そして武道館のムーディー・ブルースではレコード通りに演奏してしまうプログレの力量に翻弄されてと新年早々ロック漬になっていた。更にはエルトン・ジョンのコンサートの後にはロッド・スチュワートのフェイセスのコンサートも控えているというロック小僧にとってはまさに狂喜乱舞の年だった。

この年は、原宿にやっと人が集まり始めた頃で吉田拓郎などFOR LIFEレコードのミュージシャンが集まっていた「ペニー・レイン」という喫茶店・スナックが話題になっていた頃だ。
我らブリティッシュ・ロック小僧にとっては表参道、伊藤病院の路地に「HELP」というトンガリ・ファッションの店が集まった集合店舗が話題だった。その中にあった「SCANDAL」。この店の服はサテンの服から豹柄、ロンドン・ブーツ、ツギハギジーンズとまさにブリティッシュ・ロック一色のデザインでロック小僧にとってなくてはならない店のひとつだった。
エルトンの2度目の来日で名作『黄昏のレンガ路』は来日記念盤としてリリースされた。当時のエルトンはT-REXやDAVID BOWIEと並んでグラム・ロックの代表格とされていたのでこの「SCANDAL」の洋服を買ってコンサートに向かったロック小僧も数多くいたのだった。

コンサートは、来日記念盤の『黄昏のレンガ路』からのレパートリーが主軸となり過去のヒット曲を散りばめたものでエルトンのコンサートの中でも最もクオリティの高いコンサートだったと後まで言われる素晴らしいものだった。
場内が暗転して響き渡る奥深いシンセサイザーの音、その瞬間『黄昏のレンガ路』のオープニングにもなっている「Funeral For A Friend( Love Lies Bleeding)」であることはすぐに分かった。前半部はほとんどインストルメンタルで後半にググッと盛り上がるこの曲で今回の来日公演の素晴らしさはすぐに予測することができた。大袈裟ではなくこの1曲でこの日のコンサートの良し悪しは決まったといってもいいだろう。
盛り上げたとたんに2曲目の『僕の歌は君の歌』そして『Candle In The Wind』とバラードで攻め込めあたりも心憎い選曲だ。
そして圧巻は何といっても『Bennie And The Jets』単純なリズムにエルトンのシャウト気味の歌とシンセの掛け合いが絡むこの曲は会場を最高潮の興奮に包み込んだ。
コンサートはその後もアップ・テンポの曲とバラードとを上手く緩急つけて最後の『Crocodile Rock』、アンコールの『Saturday Night's Alright For Fighting』へとなだれこむ。当時のコンサートでは当たり前だったハイテンションでコンサートは終わったのであった。

このコンサートのサポート・メンバーはよく覚えていないのだが普通よりも長めのタムタムを使っていたドラムのナイジェル・オルソンは確実にいたし、他のメンバーもアルバム『黄昏のレンガ路』に参加したメンバーだったように思う。ソロ・アーティストのコンサートの場合、アルバムに参加したメンバーがそのままコンサート・ツアーに参加する時は間違いなくクオリティの高いものなっていたようにも記憶している。だからコンサート日程が発表されると、どのようなメンバーで来日するのか非常に興味があったものだ。

エルトンのコンサートは私の記憶の中でも素晴らしかったし、当時のコンサート・レビューでも評価は高かった。私が見たのは東京公演2日目だったのだが、残念なことに前日の初日のコンサートでは曲数が大幅に少なかったと聞いている。当時のいろいろな外タレの来日公演を思い出してみると、初日はいろいろな意味でのゲネプロ的な意味あいのコンサートとしか考えられないような手抜きがあったのも事実だ。実際にチケットが売り切れるのは最終日が一番最初、初日は一番最後に売り切れていたようだ。
エルトンのコンサートは幸いにして良い公演日に出会えたのでラッキーだった。

■演奏曲目■
-Funeral For a Friend(Love Lies Bleeding)
-Your Song
-Candle In The Wind
-Hercules
-Rocket Man
-Bennie And The Jets
-Daniel
-This Song Has No Title
-Honky Cat
-Goodbye Yellow Brick Road
-The Ballad of Danny Bailey(1909-1934)
-Don't Let The Sun Go Down On Me
-Elderberry Wine
-I've Seen That Movie Too
-All the Young Girls Love Alice
-Step Into Christmas
-Crocodile Rock

アンコール:
-Saturday Night's Alright For Fighting

EMERSON LAKE & PALMER / 1972.7.22 / 後楽園球場

ちょうどこのコンサートの1年前にグランド・ファンク・レイルロード(GFR)の伝説のコンサートが同じ後楽園球場で行われた。新聞の社会面的には暴動を引き起こしたコンサートだったので、後楽園球場の使用に関してかなり厳しいものがあったのではないだろうか。向こう一年使用禁止みたいな。そのぐらい勘ぐりたくなるほど久しぶりスタジアム・コンサートだった。

共演(前座)でFREEが出演したのだが、1年前に日本のロック史を変えるぐらいのコンサートをしてくれた姿はそこにはなく、ひどい状態(手抜き)でFREEは再来日した。メンバーは、ポール・ロジャース(Vo.G)、サイモン・カーク(Dr)、ラビット(Key)、山内テツ(b)の4人なのだが、当時のFREEは解散、再結成問題のさなかの来日だったと思う。ギターには、オリジナル・メンバーのポール・コゾフが来日するはずだったが、結局、姿は現さずにギターをポール・ロジャースが担当して、どうにかその場を切り抜けた印象しか残らない演奏をやってしまった。

FREEの手抜き演奏が終わって、いよいよEL&Pのステージだ。1年前のGFRのコンサートよろしく今回も雨混じりのコンサートだ。ステージはセカンドベース上、客席はスタンドのみ。これもGFRの時と同じだ。遠目で見てもキース・エマーソンのキーボード類が壁のごとくステージ上に並んでいるの圧巻だった。
歓声の中、1曲目『ホウダウン』が始まる。来日記念盤ともなった『トリロジー』からのこの曲はまさにオープニングにふさわしく、弾き始めのキース・エマーソンのシンセサイザーの音で会場はすっかりEL&Pの世界に引き込まれる。
興奮冷めやらぬうちに2曲目。聞き覚えのあるイントロは『タルカス』。会場は大興奮なのだが、皆んなの興味は「タルカス」がフル・バージョンで演奏されるかどうかにあった。演奏が進むにつれてどうやらフル・バージョンで演奏することが分かり、再び大興奮となる。
「タルカス」の後は、1stアルバムからグレッグ・レイクの叙情的(当時そう言われていた)なボーカルをフィーチャーした『石をとれ〜ラッキー・マン』と続く、そしてついに『展覧会の絵』のフル演奏に突入する。
「展覧会の絵」のイントロで場内は完全にヒート・アップするのだが、途中、キース・エマーソンがNICE在籍時からのお馴染みのパフォーマンス、ハモンド・オルガンの鍵盤にナイフを刺して音をキープするという場面では日本公演用に日本刀を使ってのサービス精神を見せてくれた。更にミニ・ムーグのシールドを長くしてステージから降り、ピッチャーズ・マウンドのあたりまで出てきてムーグのソロ演奏をするなど、気難しいと噂されていたキース・エマーソンのサービス精神旺盛なパフォーマンスは意外な驚きでもあった。
「展覧会の絵」が終了して、コンサートは終了。最近のコンサートと違ってアンコールを求める手拍子はおざなりではなく、当時の客たちは手が痛くなるほどの手拍子でアンコールを求めていたのが思い出される。
そして再びEL&Pの3人が登場。アンコール曲はNICE時代の名曲『ロンド』。この曲もキース・エマーソンの独演場だった。

演奏時間は90分程度だったと思うが、またしても後楽園球場のコンサート史に新たな1ページを加えた感動的なコンサートであった。

■演奏曲目■

-ホウダウン
-タルカス
-石をとれ〜ラッキー・マン
-展覧会の絵

アンコール:
-ロンド

YES / 1973.3.9 / 渋谷公会堂


この年、ロックバンドとしての来日はイエスが最初だったのではないかと思います。この後、ユーライア・ヒープ、デビッド・ボウイ、ハンブル・パイ、ベック、ボガート&アピスとこの年も来日ラッシュになります。
特に、ユーライア・ヒープの来日はイエスとほぼ同時期であったため、「神VS悪魔」の対決などといわれ音楽雑誌を中心に前煽りされていました。
しかし、ユーライア・ヒープのライブはイエスの素晴らしさには程遠く、もし勝負づけするのであれば、10:0というほどイエスの圧勝でした。

イエスは前年「イエス・ソングス」というアナログ盤で3枚組のライブ・アルバムをリリースしていました。そのライブ・アルバムがあまりに素晴らしかったので、来日公演は相当期待されていました。
実際、演奏はほぼ「イエス・ソングス」の再現で、各メンバーの細かなテクニックを垣間見ることができました。来日メンバーは5人で、ボーカル:ジョン・アンダーソン、ギター:スティーヴ・ハウ、ベース:クリス・スクワイアー、キーボード:リック・ウェイクマン、ドラム:アラン・ホワイト。
当時の私の記憶を探ると、ドラムがビル・ブラッフォードならもっと良かったのにという印象を持っていたと思います。アラン・ホワイトはどうもスタジオ・ミュージシャンの匂いがしてロックという香りがしなかったという印象を持っていたと思います。それを割り引いても、イエスの演奏は素晴らしいもので、後まで語り草になるものでした。

場内の明かりがフェード・アウトで消えていくと、ストラビンスキーの「火の鳥」が流れてきます。徐々に曲が盛り上がった頃には、メンバー5人が暗いステージの上でスタンバイしています。
カウントもなしに、いきなりオープニングは『シベリアン・カトゥール』。全く「イエス・ソングス」の再現。生身のメンバーが演奏している姿はレコードからは全く想像できないものでした。ジョン・アンダーソンは小柄で線が細い感じ。クリス・スクワイアーはものすごい長身で190センチはゆうにありそう。リック・ウェイクマンは引きずらんばかりのスパンコールのマントをまとっています。スティーヴ・ハウは神経質そうに猫背でギターを弾いています。スティーヴはジャズぽいセミ・アコのギターを持っているものの、彼の前にはギター・スタンドが3本セットしてあり、曲の途中でも弾き分けます。
演奏は完璧に計算されているのでしょう。テープでは?と思うほど「イエス・ソングス」と同じです。要所要所に各メンバーのソロ・パートが盛り込まれていて、リック・ウェイクマンのソロは壮大かつ大袈裟でまさにこれぞプログレという感じ。スティーヴ・ハウは「イエス・ソングス」の中では『ムード・フォー・ア・デイ』1曲でしたが、他に『クラップ』も披露し、クラシック・ギターの腕前も見せつけてくれました。
演奏時間はおおよそ、2時間20分。各メンバーのソロ・パートでも全く間のびすることのない完璧なまでのイエス・ワールドでした。
イエスの曲は変則拍子も多いのですが、ベースが7拍子、ギターが5拍子で演奏するというまさに神業的なものもあり、プログレの醍醐味を十分堪能させてくれました。

ご存知のように、この後のイエスは頭デッカチになりすぎ、より難解な方向に進んでいき、メンバー同士の音楽性の違いという、ロック・バンドの定番ともいえる理由で解散を余儀なくされます。
80年代に新生イエスとして一瞬、注目を浴びるのですが、イエスが存在していた意味を大きくアピールできたのが、この時期の活動だったと思います。

私は、本当に良い時代を体験できたと思います。

■演奏曲目■

-オープニング(火の鳥)
-シベリアン・カトゥール
-アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル
-燃える朝焼け
-カラー・オブ・ザ・レインボー
-ジョン・アンダーソン・ソロ〜さくらさくら
-スティーヴ・ハウ・ソロ
〜ムード・フォー・アーデイ〜クラップ
-アンド・ユー・アンド・アイ
-危機
-リック・ウェイクマン・ソロ〜ハレルヤ
-ラウンド・アバウト

アンコール:
-ユアーズ・イズ・ノー・ディスグレイス
-スターシップ・トゥルーパー

photo by Kimio Yokohataさん

GRAND FUNK RAILROAD / 1971.7.17 / 後楽園球場


グランド・ファンク(以下GFR)の当時の日本での紹介のされ方は、世界で一番音が大きいバンド。LED ZEPPELINの前座をやり大アンコールでZEPPELINの出番がなくなった。など、勇ましいものばかりだった。デビュー・アルバムと2ndアルバムを聴くかぎりでは、それほどハードな印象を受けなかったが、3rdアルバムとして発売された2枚組ライブアルバムで噂は本当かもしれないと、興味は最大限にアップした記憶がある。それほど、このライブアルバムのできは素晴らしいものだった。

そして、いよいよそのライブに触れるチャンスがやってきた。1971年は2月にBS&T、4月にFREE、6月にはCHICAGOが来日していて、日本のロック元年と呼べるような年であった。GFR来日後はPINK FLOYD、LED ZEPPELINも来日するわけだからまさにロック元年であったのだと思われる。
そのGFRの来日コンサートは、なんと後楽園球場で行われるとあって、期待はますます高まった。今でこそスタジアムでのコンサートは当たり前であるが、GFRの後楽園球場コンサートは史上初と言えるものだったと思う。なにしろ、あのBEATLESでさえ、武道館だったし、GFRの後に来日するLED ZEPPELINも武道館でのコンサートだったのだから、GFRのすごさが分かると思う。
ちなみに当時のスタジアム・コンサートはスタンド席のみで、現在のようにアリーナ席はなかった。ステージは、セカンドベース近辺に作られたので、客席まではかなりの距離があり、今考えるとおおよそ間抜けな感じもするが、当時としては画期的だったのだ。

当日は、前座として、日本の女性ロック・シンガー、麻生レミとカナダのロック・バンド、マッシュマッカーン(ちょうど一発ヒットの『霧の中の二人』というのがタイムリーに流行っていた)がGFRを盛りあげる?はずだった。
しかし、実際にGFRを盛りあげたのは、前座の2組ではなく、自然の気象状況だった。星さえ見えていた空が、マッシュマッカーンの最後の曲あたりで、急に暗雲が立ち込めてきたのだ。そして、マッシュマッカーンの曲が終わる頃には、雷をともなった豪雨となってしまった。
本来であれば、20分程度のインターバルでGFRがヘリコプターで登場。というような演出が考えられていたようだが、30分、40分たっても、GFRは出てこない。そうこうしているうちに、会場内に、中止の噂が流れ始め、にわかに客席が騒がしくなってきた。それまで緊張感のなかった報道陣にやっと活気が出てきて、観客をカメラに収めたりし始める。
そして、1時間を経過した頃、「暴動」という雰囲気が客席に伝わってくる。なんでも、入れない客1200人がゲートをこじ開け侵入しようとしているという話が伝わってくる。イヤ〜な雰囲気が立ち込めてきた時、場内に当時の人気DJ、糸居五郎の声でアナウンスが流れる。「皆さん、グランド・ファンクは必ず、演奏をやると言っています。もうしばらく待ってください」もうこれで場内は一気にヒート・アップ。映画「ウッド・ストック」の一場面のようにどこからともなく「No Rain、No Rain」の声が聞こえ、スタジアム中に伝染し、大合唱となる。

マッシュマッカーンの演奏終了後、1時間半が経過。雨は全く降りやむ様子はないが、ついにGFRの登場となる。1塁側ダッグアウトから見慣れた3人が出てくる、マーク・ファーナーはすでに上半身裸で登場。ドン・ブリュワーはアフロ・ヘアーで長身。メル・サッチャーは思ったより華奢な感じだ。
耳をつんざく、とまではいかなかったが、雰囲気的にはじゅうぶんそんな感じに思えてしまうほどの自然現象による演出効果であった。
演奏は、ライブ・アルバムと全く同じ構成で進んでいく。オープニングは『Are You Ready?』、ハイライトはやはり『Heartbreaker』。会場全体で「ハートブレイカー」の大合唱。そして最後の曲、アニマルズのカバー曲『孤独の叫び』で興奮は最高潮となる。
演奏時間は1時間10分と短かった。しかし、誰一人、不満漏らす者はいなかったと思う。たぶん初めてロックの洗礼を受けたとような感じがしたのではないだろうか。

翌日、スポーツ紙はもちろん、一般新聞でもコンサートは騒動として報道された。もし、天気が良くて普通にコンサートが行なわれていたとしたら、GFRのコンサートはそんなに一般レベルまで話題にならなかったかもしれない。結果的にGFRは、ロック・ファンだけではなく社会をも巻き込んだコンサートを行ったことになったのではないだろうか。
後日談として、その日のコンサートは、感電の恐れがあったので、全てテープによるものだったというようなことが噂になったが、このコンサートに参加した者にとっては、そんなことはどうでも良いことだった。

■演奏曲目■

-アー・ユー・レディ
-パラノイド
-イン・ニード
-ハートブレイカー
-マーク・セズ・オーライト
-T・N・U・C
-孤独の叫び

写真提供:70's Rock 秘蔵写真館 rare pic.
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宮崎@大福

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柴犬・福と大福の飼い主をやってました。1970年代・80年代のロックと映画に育てられたレトロ者です。重度の大福ロス(ペットロス)者でもあります。

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