「快楽」都市遊泳術 / 立川直樹・森永博志



絶対に紹介したい本だったのだが、なかなか機会がなかった。世紀末で回顧番組や特集も増えているようなので、便乗して紹介させてもらう。
この本はエスクァイア・ジャパンで連載されていたものの中からの抜粋の対談本だ。対談しているのは立川直樹氏と森永博志氏。立川氏は音楽評論家から音楽プロデューサーへ幅広い活躍をされている人。そして森永氏は雑誌POPEYEの編集者だった人だ。扱われている時代は1989年から1994年でいわゆる「バブル時代」だ。20世紀の流行文化を語る中であの狂乱のバブル期を避けては通れないだろう。
この本はバブル期の東京を中心にした流行文化をリアルに再現してくれる。当時の遊び場、映画、音楽、アート、酒、女・・・あらゆる遊びとしての流行文化が二人の口から語られている。当時を懐かしむも良し、当時を再認識するも良し、この対談は21世紀を迎えるにあたってぜひとも読んでいただきたい。
読むポジションとしては、立川・森永両氏がグラスなど傾けながら語りあっているクラブ・シャングリラというバーのカウンターでバーテンでもしながら何気なく聞き耳を立てているというスタイルが良いかもしれない。
全編2人の対談がほとんどなのだが、松任谷由実や北野たけしをはじめ興味深いゲストも登場するのでそれもまた面白い。関東圏以外の人には鼻持ちならないと思われる部分もあるかもしれないが、それも含めてバブルの検証として欲しい。
巻末にある「用語解説」は資料としてもたいへん優れているので、これだけでも読む価値はじゅうぶんある。

目次を紹介する。

まえがき 森永博志

1 週に一度はジャンク・フードを食べたい
2 古本屋の親爺と会話する愉しさ
3 ベッドがひとつにテレビがひとつ、あとは本が積んであるだけの生活
4 彼らは生きながらにしてモッズ
5 わかったふりせず、自分のスタンスで堂々と
6 芸術家はだらしないものだ、なんて通用しない
7 わからない人には何だかサッパリわからないから素晴らしい
8 感覚的なものを信じようとしない日本人
9 身体と金を使って街に出かけていく人間しか信用しない
10 不揃いなものにこそ愛情がもてる
11 観終わったあと、もう元に戻れなくなる映画
12 時代のリーダーはアングラ・マインドを持った実力者
13 日本では、ロックも単なる青春の思い出
14 シャンパン、キャビア、コルトレーン、至福の部屋遊び
15 エコロジー御宅の前に、人間は地球のために反省しなければならない
16 ひとつのことを追求して、到達していくカッコよさ
17 セックス好きな人間は、女の腹の上で死にたいと望む
18 メジャーで失敗したから、マイナーで生き長らえようとする卑怯者
19 本物の人の方が一回遊びに来ないって軽く言う
20 ストレスのない暮らしが一番長生きする
21 つきつめればみんな芸人、すべて見世物
22 宗教ではなく、信じられる何かが自分の中にあるか、ないか?
23 いかに上がらず、いかに情けなくならずに生きるか?
24 ミーツ。誰かと会って何かが始まる
25 40代で遊んでるなんて、とんでもないことみたい
26 お金がない時は、ないなりの遊び方、緩急自在に生きていく幸せ
27 「してやろう」と「してあげよう」の違い
28 仕事で組むなら気心知れている相手が一番
29 何でもかんでも知っている人間のつまらなさ
30 フランク・シナトラは元祖・不良
31 大人は大人で、若者のことなんて考えない方がいい
32 しみったれた映画なんか観たくない
33 生きてる人の不幸と死んだ者の幸福
34 人生に往復はない!!
35 期待されないと、思い切り好きなことをやれる
36 やるだけやって、きれいにカタをつけられる人生が一番

クラブ シャングリラの饗宴----文庫化にあたって

37 やはりキャリアの長さは伊達じゃない
38 淡々とした暮らしの中に森羅万象

特別寄稿:

今宵も愉しき盗み聞き 森雪之丞
『「快楽」都市遊泳術』によせて 矢部直
『「快楽」都市遊泳術』によせて MAYA MAXX
『「快楽」都市遊泳術』によせて ロバート・ハリス
「N.G.」 Char
二十一世紀のビルドゥングス・ロマンのために 福田和也

あとがき 立川直樹

本書をより楽しむための用語解説
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EMERSON LAKE & PALMER / 1972.7.22 / 後楽園球場

ちょうどこのコンサートの1年前にグランド・ファンク・レイルロード(GFR)の伝説のコンサートが同じ後楽園球場で行われた。新聞の社会面的には暴動を引き起こしたコンサートだったので、後楽園球場の使用に関してかなり厳しいものがあったのではないだろうか。向こう一年使用禁止みたいな。そのぐらい勘ぐりたくなるほど久しぶりスタジアム・コンサートだった。

共演(前座)でFREEが出演したのだが、1年前に日本のロック史を変えるぐらいのコンサートをしてくれた姿はそこにはなく、ひどい状態(手抜き)でFREEは再来日した。メンバーは、ポール・ロジャース(Vo.G)、サイモン・カーク(Dr)、ラビット(Key)、山内テツ(b)の4人なのだが、当時のFREEは解散、再結成問題のさなかの来日だったと思う。ギターには、オリジナル・メンバーのポール・コゾフが来日するはずだったが、結局、姿は現さずにギターをポール・ロジャースが担当して、どうにかその場を切り抜けた印象しか残らない演奏をやってしまった。

FREEの手抜き演奏が終わって、いよいよEL&Pのステージだ。1年前のGFRのコンサートよろしく今回も雨混じりのコンサートだ。ステージはセカンドベース上、客席はスタンドのみ。これもGFRの時と同じだ。遠目で見てもキース・エマーソンのキーボード類が壁のごとくステージ上に並んでいるの圧巻だった。
歓声の中、1曲目『ホウダウン』が始まる。来日記念盤ともなった『トリロジー』からのこの曲はまさにオープニングにふさわしく、弾き始めのキース・エマーソンのシンセサイザーの音で会場はすっかりEL&Pの世界に引き込まれる。
興奮冷めやらぬうちに2曲目。聞き覚えのあるイントロは『タルカス』。会場は大興奮なのだが、皆んなの興味は「タルカス」がフル・バージョンで演奏されるかどうかにあった。演奏が進むにつれてどうやらフル・バージョンで演奏することが分かり、再び大興奮となる。
「タルカス」の後は、1stアルバムからグレッグ・レイクの叙情的(当時そう言われていた)なボーカルをフィーチャーした『石をとれ〜ラッキー・マン』と続く、そしてついに『展覧会の絵』のフル演奏に突入する。
「展覧会の絵」のイントロで場内は完全にヒート・アップするのだが、途中、キース・エマーソンがNICE在籍時からのお馴染みのパフォーマンス、ハモンド・オルガンの鍵盤にナイフを刺して音をキープするという場面では日本公演用に日本刀を使ってのサービス精神を見せてくれた。更にミニ・ムーグのシールドを長くしてステージから降り、ピッチャーズ・マウンドのあたりまで出てきてムーグのソロ演奏をするなど、気難しいと噂されていたキース・エマーソンのサービス精神旺盛なパフォーマンスは意外な驚きでもあった。
「展覧会の絵」が終了して、コンサートは終了。最近のコンサートと違ってアンコールを求める手拍子はおざなりではなく、当時の客たちは手が痛くなるほどの手拍子でアンコールを求めていたのが思い出される。
そして再びEL&Pの3人が登場。アンコール曲はNICE時代の名曲『ロンド』。この曲もキース・エマーソンの独演場だった。

演奏時間は90分程度だったと思うが、またしても後楽園球場のコンサート史に新たな1ページを加えた感動的なコンサートであった。

■演奏曲目■

-ホウダウン
-タルカス
-石をとれ〜ラッキー・マン
-展覧会の絵

アンコール:
-ロンド
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Fin.K.L(ピンクル)



韓国ポップスの女の子4人組Fin.K.L(韓国読みでピンクル)を紹介したい。
韓国ポップス界の女の子グループといえばS.E.Sの3人組がいるが、日本進出を目論み約2年間の活動をしたが残念ながら失敗に終わった。(但し、2001年からはavexに移籍するので化ける可能性はあり)このFin.K.LはS.E.Sと同時期に韓国で活動をして互いに人気を分けたほどのアイドル・グループである。

初めてFin.K.Lを見たのは韓国の音楽番組でのプロモ・ビデオだった。アイドルらしくフリフリの衣装にキラキラの瞳、そしてとびきりの笑顔。どうも私の趣味ではないな、というのが第一印象だった。ところが、ある日同じテレビで『BLUE RAIN』という曲のプロモが流れていた。あら?R&Bぽくって良い曲じゃなの。と思って画面を見ると何とこれもFin.K.Lだった。
それ以来、何となく気になるグループになったのだが、なにしろ瞳キラキラのアイドルである。人に薦めなどしたら、いい歳して何を言ってんだか。と笑われるどころか軽蔑すらされそうなほどのバリバリのアイドルだから戸惑ってしまうのであった。

今回、ある人から彼女たちのレコードをいただいたのと、自ら購入したのとを改めて聴いてみて、自信を持って紹介できる確信を得た。彼女たちは素晴らしいボーカル・グループであると断言していいだろう。
彼女たちはイ・ヒョリ、イ・ジン、オク・チュヒョン、ソン・ユリの4人組なのだが、中でもオク・チュヒョンの歌唱力はずば抜けて素晴らしい。全体的に彼女の占めるボーカルの割合は70%で残り30%を3人が担当、と言って良いほどこのグループは彼女に頼るところが大きい。ビジュアル的にはまた違った結果になるのだろうが、ことボーカルにおいての彼女の存在はあまりにも大きいようだ。
オク チュヒョンは1980年生まれらしいのでその若さから考えると素質の高さは今後恐ろしいほどの可能性を秘めている。
韓国ポップス界には歌唱力の高いアイドルも数多い。先のS.E.Sにも歌唱力の要となるパダという女の子がいる。彼女も歌唱力はあるのだが、彼女の歌の巧さは演歌を基盤にした巧さだ。オク・チュヒョンの巧さの基盤はというとR&Bからきているようだ。分かりやすくというとパダの歌のノリは「横ノリ」だが、オク・チュヒョンのは「縦ノリ」。パダのリズムは、1拍目と3拍目だが、オク・チュヒョンは、2拍目と4拍目。というぐらいの違いがある。『BLUE RAIN』と言う曲は、モータウンの香りすらする曲で、古い年代の方にはグラディス・ナイト&ピップスの『夜汽車よジョージアへ』を彷彿させる曲と言えば理解してもらえるかもしれない。

こんなにも若い女の子が情感たっぷりにモータウンさながらの歌唱力を持っていることはただ驚ろくばかりだ。今後Fin.K.Lがどのように成長していくか、オク・チュヒョンがどのようなDIVAになっていくのか、とても楽しみである。
韓国ポップスということでなかなか入手する機会は少ないかもしれないが、Fin.K.Lという名前だけは覚えていただきたい。韓国旅行に行った時に、1枚だけ買おうかという方にはデビュー・アルバムの『BLUE RAIN』をお奨めする。2枚目の『永遠の愛』はかなりアイドル路線で今イチかも。3枚目の『NOW』も相当R&Bぽい仕上がりになっている。
日韓交流が流行り言葉のようになりつつあるこの頃だが、くれぐれも日本進出だけはやめてもらいたいものである。きっと「韓国のMAX」なんていうキャッチ・フレーズをつけられてしまうであろうし、このキャッチをつけた段階でMAXより上には行けなくなるわけだから。MAXよりは数段上のレベルの女の子たちだから大事に育てて欲しいものである。
ちなみにFin.K.LとはFine Killing Libertyの略。
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