サザン・オールスターズはあまり好きじゃない。というよりも嫌いなほうの部類に入る。理由はただひとつ、桑田佳祐が歌う歌詞が聞きとれないからだ。楽曲のクオリティは高いと認めているだけに残念だ。もっと普通に歌ってくれれば好きかもしれないと常々思っていた。
そのサザンのメンバーの一人である関口和之がソロ・プロジェクトを発表した。関口和之&砂山オールスターズ。いかにもオヤジ・ギャグなバンド名だ。
内容はというと一連のサザンのヒット曲をカバーしたアルバムだ。
ただ単にカバーしただけではなく、それぞれの曲を世界ワールド・ミュージックにアレンジしているところにまず興味がひかれた。
日本、インド、アフリカ、ヨーロッパ、ブラジル、ジャマイカ、キューバ、アメリカ、ハワイの代表的なサウンドにサザンの曲を乗せてアレンジしている。そのサウンドはBGMとしても気持ちが良いし、各曲をじっくり聴いてもアレンジのセンスと演奏力の高さには感心させられる。
80年代初頭にWATER MELONなども同様のサウンドに挑戦していたが、演奏力という点ではこのアルバムのほうがはるかに高い。
やはり音楽にパロディ的な要素を持ち込むにはそれなりの演奏力が必要ということを改めて認識させられるアルバムでもある。
ただ、このアルバムがマーティン・デニーに代表されるエキゾティック・ミュージックのレベルかというと、それは微妙なところであくまでも趣味の域での良作とするのが妥当なところだろう。
参考までに収録曲とそのサウンド(アレンジ)の源となる地域名を記してみる。
01.涙のキッス(a cappella)
02.MISS BRAND-NEW DAY:kingston/JAMAICA
03.YaYa(あの時代を忘れない):Hawaii/USA
04.HOTEL PACIFIC:Havana/CUBA
05.愛の言葉〜Spritual Message〜:SantaMarta/COLOMBIA
06.涙のキッス:RioDeJaneiro/BRAZIL
07.みんなのうた:California/USA
08.希望の轍:Mississippi/USA
09.南たいへいよ音頭:PortOfSpain/TRIDAD AND TOBAGO
10.Big Star Blues(ビッグスターの悲劇):Kerama/JAPAN
11.真夏の果実:Douala/CAMEROON
12.クリスマス・ラブ(涙のあとには白い雪が降る):Dublin/IRELAND
13.忘れられたBIG WAVE〜Outro:Ibiza/SPAIN-UNIVERSE
14.TUNAMI(souvenir):SanDiego/USA
という全14曲世界一周の旅だ。
2001年9月のニューヨーク・テロ事件以来、海外旅行に出かける人の数は少なくなっているようだが、車の中、家の中でこのアルバムを聴きながら世界旅行に夢をはせるというのもなかなかオツな余暇の過ごしかたかもしれない。
ちょっと上質なワールド・ミュージックをいろいろなシチュエーションでぜひお試しあれ。
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