リメンバー・ミー(同感) / ネタばれ度:★★★

韓国のタイム・トラベルものでは『イレマーレ』が、この『リメンバー・ミー』と同時期に公開されていて、正直どちらがどちらだか最初よく分からなかった。『イルマーレ』は2年の時間差で『リメンバー・ミー』は何と21年の時間差だ。
皆既月食の夜、古びた無線機から流れ出る声に反応する女子大生ユン・ソウン(キム・ハヌル)。声の主は、チ・イン(ユ・ジテ)。好奇心から話し込む2人は同じ大学の学生だということが分かり、早速翌日、待ち合わせをすることになる。しかし、時間通り約束の大学の時計台に行く2人だが会うことはできない。それもそのはず、2人の生きている時代は1979年と2000年で21年もの時間差がある。お互いにお互いの環境を理解し合うのにさほど時間がかからないあたりは韓国映画、韓国人の懐の深さなのかもしれない。
時代の違う2人は、夜な夜な青春時代真っ只中でいろいろなことを話し合う。あまりにも時間差を感じさせることのない2人のやり取りに見ているほうとしては、この映画、最後はどういう落とし込みがあるの?と心配になってくるほどだ。
話が急激に展開するのは、2000年に生きるチ・インの両親の名前が明らかになってからだ。彼の両親も2人と同じ大学の卒業生で父は、1979年に生きるユン・ソウンが密かに恋心を抱き、その恋も実を結ぶのは時間の問題とされているチ・ドンヒだった。そして母はソウンの親友のホ・ソンミだった。事実を知ったソウンのショックは大きい。
運命に関係なく自分の意志を貫く生き方もあろうが、ソウンは運命を重んじて行動する。恋心を抱く相手チ・ドンヒとは距離を置くようになり、成就されるはずの恋を自ら捨てる。そして、親友のホ・ソンミとも友達関係を維持することをやめる。2000年に生きるチ・インの存在理由こそが運命の真実と受け止めてのソウンの判断なのだろう。
画面では出てこないが、彼の両親であるチ・ドンヒとホ・ソンミも突然のソウンの態度については不思議だったに違いない。ソウンが態度を変えなければ2人が結びつくことはなかったのかもしれない。あるいは、ソウンが態度を変えなくても運命というものは必ずや2人を結びつけたのかもしれない。なぜなら2人の子供であるチ・インは2000年に存在しているのだから。このあたりのむず痒さがタイム・パラッドクスの面白いところだ。
2000年に生きるイ・チンによれば彼の両親はまだ生きているようだ。では、1979年に生きているソウンは2000年にどうしているのだろう。考えられる答えは2つしかないだろう。1つは、何らかの理由で2000年まで生きることができなかったといもの。もう1つは、2000年の世の中でもどこかに生きていて、同じ時代で2人が出会うというもの。
私めとしては、前者を予測しながら見ていた。ネタばれ度:★3つ言えど、結末に関しては書くのを控えておくことにする(何年も経ってから自分で読んで忘れていたらどうしよう)。
時間の見届け人として大学の警備のおじさんがアチコチに登場するのは愛嬌か。
ユン・ソウン役を演じるキム・ハヌルは元々はテレビの出身だったと思う。ハヌルとは青空という意味だが、顔立ちはどこか曇りがちで、艶やかな顔つきが多い韓国女優の中ではどこか物寂しげな感じのする女優だ。この映画の中では悲しいながらも運命を重んじた聡明な行動をとる役を演じている。相手役チ・インには目下、韓国若手男優の期待のユ・ジテ。2枚目ではないが、どこか犬ぽい表情があり、温かみのあるキャラクターだ。
監督はチャン・ジンでこの映画がデビュー作。脚本に助けられたのか演出力なのかは、次回作でも見ないとまだ評価はできないであろう。
この映画は、日本で『時の香り〜リメンバー・ミー〜』というタイトルでリメイクされている。ただ、こちらのほうは語るのも恥かしいほどお粗末な出来で国辱に値するほどだ。
ちなみに無線機による過去とのコミュニケーションを扱ったアメリカ映画に『オーロラの彼方へ』というのがあり、制作時期もほぼ同じ頃だ。こちらは、30年の時間差で未来の息子が過去の父親と交信することで自分の家族に関わる歴史的運命をいじってしまう。オーロラが不思議現象を引き起こす。
2000年作品。111分。監督:チャン・ジン。
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TUTAYA稲毛海岸駅前店

その昔、六本木にWAVEが初めてできた時(80年代の前半ぐらいか)、ビデオのレンタル会員になった記憶がある。レンタル料は2泊で900円か1000円だったような。もっと前の70年代後半に家庭用ビデオデッキVHSを買った時の値段は24万ぐらいだったのを覚えている。ビデオの生テープも高くて120分用が3600円だった。
そんな時代に比べると今のビデオ・レンタル料金は安くなったものだ。場所によっては旧作1週間レンタルで100円なんていうお店も見かける。
それらに比べるとTUTAYAは一貫して高い。旧作で1週間350円だったか。この値段の高さは何からなのかはサッパリ分からないが、他のレンタル・ショップに比べてブランド・イメージが多少あるのは事実だろう。実際、TUTAYA自体での事業展開もいろいろ工夫してもいるようだ。そのせいか事業も順調なのだろう。あちこちにTUTAYAの店舗を見かける。
ただ、巨大化してくると悲しいかなポリシーを一貫していくことはなかなか難しいようだ。おそらくフランチャイズ制度で店舗数を増やしているのだろう。店舗によってのクオリティーの格差が出てきてもいるみたいだ。
ここで言うところのクオリティーとはレンタル商品のストックのセンスと従業員の接客態度、商品知識などだ。
都心の大型店で感心したのは、例えば、ブライアン・デ・パルマ監督の『スネーク・アイズ』が新作で入荷したとする。この場合、商品の配置はまず、新作コーナー。そして監督別でブライアン・デ・パルマのコーナー。俳優別でニコラス・ケージのコーナー。そして更にはジャンル別でサスペンス・コーナーにまで一つの作品が配置されていたりもする。ここまでしてもらうと利用者としては大変助かる。
私の勝手なイメージでは、どのTUTAYAにもこの店舗と同じ程度のことは期待してしまうわけだ。もちろん、全ての店舗で同じクオリティーは無理としてもその姿勢は期待してしまうことは仕方がないことだと思う。だって、他店に比べて料金も高いわけだから。
そして今回、私が会員登録している千葉県の稲毛海岸駅前店だ。駅より1分のところで元々本屋であったのであろうビルの地下1階にこの店はある。他所のTUTAYA同様、従業員のコスチュームも青チェックのシャツにGパンというコスチュームでどこから見てもTUTAYAである。
ところが、ここの従業員の商品知識は私が思うにはちょっとひどすぎる。
以前、従業員の男の子に「デヴィッド・リンチはどこにありますか?」と尋ねたら「少しお待ちください。検索してきます」と来た。しばらくしてやって来て「申し訳ありませんが、当店では置いてありません」と言う。えぇ〜と思いつつも、ないと言うものは仕方がないので、諦めて他のビデオを見ていたら『ロスト・ハイウェイ』や『ツイン・ピークス』があった。別に嫌味ではなく、その従業員が返却ビデオを整理していたので「ここにあったよ」と教えてあげた。すると「あぁ、人の名前だったんですか。すみません、タイトルで検索していました」ときたもんだ・・・。
どうなんだろう。私はデヴィッド・リンチが好きだからよく分からないが、ビデオ屋で働いていてデヴィッド・リンチを知らないのは仕方がないことなのだろうか。もちろん、全ての監督、出演者、作品を知っている必要などないし、それは無理ということだろう。でも、デヴィッド・リンチを知らないのは私としてはビデオ屋で働く者としては、情けないような気がしてならない。
そして、ここの従業員の接客というか客に対しての声かけも「いらっしゃいませえ〜〜」と大声でまるで居酒屋の従業員みたいなのだ。何か違うような気がする。
そして、一番ひどいのが商品の取り扱いだ。返却する際にビデオテープなら巻き戻しがしてあるか、テープは切れていないかなどをチェックしている。それなのにひどい面がある。
それは、時間外の返却の時だ。時間外返却の時は1階にある本屋に設置してある返却箱に入れ込むのだが、一度だけ利用して驚いた。高さ1mぐらいある投入口からビデオ入れるのだが、そのビデオは壁の向こう側で見事に床に落下して床に散乱、山積み状態になっているのだ。多少、クッションのある返却袋を使っていても、この商品の扱いはないだろうと思う。
商品を大事にしない店舗に向上心は望めない。このやり方を放置しているこの店舗、そしてフランチャイズ方式とはいえTUTAYAというブランドを提供している本部事業体。ちょっと考えてもらいたいものだ。
大阪のUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)での賞味期限切れの食品の使いまわし。飲料水に工業用水使用。認可以上の火薬の使用など不祥事が続いているが、TUTAYA稲毛海岸駅前店のこのような姿勢も根本的にはUSJの危機管理認識の低さと同じなのだと思う。
最後に何で不満だらけなのにこのTUTAYA稲毛海岸駅前店を利用しているかといえば、他にビデオ屋がないからである。他にビデオ屋があればすぐにでもこの店を利用することはやめたいぐらいだ。
皆さんの近くのTUTAYAはどんな感じなのだろう。特に、時間外返却についてはとても興味がある。