BIJOU2 / Bijou

韓国の音楽シーンは大変魅力的なアーティストが数多いので驚いてしまう。韓国の音楽=演歌系・・・のような印象が強いが、日本と同じくらいポップス系の音楽も流行っているし、その水準もかなり高いようだ。特にHIP HOP系は日本の水準を大きく上回っている。
今回紹介するBijouというグループはHIP HOP系ではなくどちらかというとメロディーに重きをおいた男女2人組みである。残念ながら詳しい経歴は分らないし、歌詞も韓国語のため理解できないので、メロディーとサウンドからの判断しかできない。
このBijouは女性ボーカルのチェ・ダビと男性ボーカル&ラップのチュミンとの2人組。このアルバムは2ndアルバムになるようだ。曲は、ミディアム・テンポとスローがほとんどだが、曲の構成がちょっと変わっている。デュエットなのだがメロディをチェ・ダビが歌い、コーラスというか曲にからんでくるラップをチュミンがという役割になっている。書くと何でもないようであるが、この手法はかなり新鮮で非常に耳障りがよい。ラップというと激しい感じがするがチュミンのラップは語りかけるような囁きかけるようなラップでチェ・ダビの透明感のある歌声、メロディ・ラインに見事にマッチしている。
韓国はシングル盤の習慣がないので、アルバムに収録される楽曲は全てシングル盤の要素を持ったものとなり、1曲ずつが全て日本でいうシングル・カットできる曲となっているのでバラエティに富んでおり楽しめる。しかも日本のように無理に70分近くも収録されておらず、45分ぐらいなので食傷気味にもならない。
今後も韓国のポップス・シーンには要注意だし、このBijouはそんな中で今後もおおいに期待できる2人組である。
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One and Only / m.c.A・T 1999/11/11
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One and Only / m.c.A・T

m.c.A・Tがイマイチ売れず、評価も低いのはやはりルックスが悪いからかなぁ。というよりも身長が低いのが原因か。それらを除けば、はっきり言ってこの人が日本では一番優れたラッパーだろうと確信しています。今でこそ、HIP HOP、RAPが当たり前になっているけど、RAPを早口言葉と勘違いしている輩が多いのも事実だし・・・。globeのマーク・パンサーなんかどう考えても足引っ張っているとしか思えないし困ったものです。ダヨネェ〜なんていう悪夢のような曲もあったし、日本にはRAPは無理なのかと思っていた時に登場したのがこのm.c.A・Tでした。
ちょっと衝撃的でした。日本語をここまで操るとはすごい!とおおいに気になっていたらその後、鳴かず飛ばず。そうこうしているうちに彼の曲をカバーしたDA PUMPやDRAGON ASHとかが一気にブレイクして忘れかけられているのが現状です。槙原なんかも絶望的な容姿なのに曲とかはけっこう売れているのに何故?と思ったら、クラブ系はリーダー的な存在を求めるという事もあって、容姿はかなり重要なファクターなのであろうというところに落ち着いてしまう。
もし彼の身長があと10センチ高かったら日本の音楽シーは大きく変わっていたと言っても過言ではないでしょう。
この「One and Only」は初期のベスト盤的なアルバムですが、全15曲のクオリティは高く、聴き終わった後、日本のRAP界は彼しかいないという事を手放しで納得してしまうアルバムです。このアルバムを聴くと日本語がRAPに合わないという悲観的な問題も吹っ飛んでしまう秀作です。なによりも日本語を程よくいい加減にRAPに合う歌詞にしているところにセンスを感じます。
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ATLANTIC CROSSING / ROD STEWART 1999/10/17
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純粋競馬

競団連って知っていますか?経団連じゃないですよ。関東競馬応援団連合の略称です。1989年設立の競馬愛好者の集いの名称です。そこの主要メンバーである黒鉄ヒロシ、伊集院静、小林薫、長友啓典の4人の対談集です。
馬鹿らしいと言ってしまえばそれまでなんですが、競馬を哲学的に捉えているオバカおじさん4人組の熱いメッセージはただ単に競馬について語っているだけでなく、生き方をも教えてくれるような気がします。
それぞれの語録を1つずつ紹介します。
小林薫:
今負けても、ずっと敗者復活戦があるじゃないか、と思えるんですよ。僕、そういう事考えると泣けてきちゃうんだよね。
伊集院静:
人生は博打やから博打やらない、という人がいるでしょ。あれはアホウです。似てるところがあるとすれば、よけまくっとったら長続きできるとこかな。
黒鉄ヒロシ:
恥ずかしいこといいますが、競馬場ではいつも、惚れた女が女郎でおると、これを救うのにいくらかかる。そういう覚悟で馬券を買うんですよ。
長友啓典:
こっちは何十年苦しんできとる。昨日今日始めたばかりの人に、同じように楽しまれたらかなわん。それくらいのもんなんよ、ギャンブルは。
何を言ってんだかぁ。という感じもしますが、本文を読んでみるとこれらの言葉がやけに心に染みてきます。
それでは、目次タイトルを紹介します。
まえがき
●純文学的競馬入門
●人生コケた人の優しさ
●濡れ手でアワには裏がある
●「俺がルールだ!」
●データなんてもんはウソや
●競馬は哲学で入る
●情けない自分が好き
●フォーム以外に身を助ける術はなし
●小林薫の役者の魅力
●ギャンブルだけは強くなりたい
●馬券買いは闘いである
●追い込み馬に人生を重ねたかった人間たち
●“お祈りオバサン”現わる
●精神の勃起する瞬間
●義務教育で博打をやろう
●負けた金の行方
●名言「尾道に雪は降らん」
●借金できるセンス
●競馬はトータルで考える
●博打はダンディズムの最後の砦
●ギャンブラーは疑り深くなければならない
●博打は貧乏たらしさを消してくれる
●結論・好きなようにせえや
付録「ダービー観戦記」
あとがき
目次だけだととんでもない本のような気がするでしょうが、今までと少し発想を変えてみたいなと考えている人。人生のターニング・ポイントかなと考えている人。
ちょっと煮詰まってしまった人。そんな人にはいろいろな結論を出す前にこんな本を読んで少し遠回りをして欲しいと思います。
付録のダービー観戦記は1990年のダービー当日東京府中競馬場での4人の話なんですが、対談を読んだ後のこの観戦記はそれぞれの個性が更に強調されていて臨場感に溢れています。ちなみにこの年のダービー馬はアイネスフウジン。競馬場に勝利騎手のコールが起こった最初レースです。
この本、もしかすると絶版になっている可能性もありますが、意外に市町村の図書館においてあるところも数多くあるようです。
ソウルマイハート2 / 黒田福美

黒田福美さんは女優です。私の記憶の中では昔「タモリ倶楽部」に出演していたイメージが強く、ちょっと変わった活動の女優と印象を持っていました。
その黒田さんが実は韓国の事情通であるということは私あたりも小耳にはさんでいました。こう言っては失礼かもしれませんが、たかが芸能人のすること、他の芸能人よりちょっと韓国通というぐらいだろうと思っていました。従って、彼女の著書を書店で見かけてもタレント本の一つと思い、読むには至りませんでした。
最初に手にしたのは「ソウルの達人・完全版」でした。買った動機は「綺麗な本だなぁ」という事だったような気がします。読んでみてビックリ。ガイドブックと普通の本?の中間のようなスタイルのこの本をガイドブックという観点から見るのならガイドブックの「革命」は大袈裟にしても「改革」という役割は十分にしているとい言えるでしょう。
毎年マイナーチェンジで改訂を重ねる大手のガイドブックは恥を知るべきだと思います。実際ソウルの繁華街で大手ガイドブックに掲載された記事を大きくコピーして店頭にこれ見よがしに貼ってある店もかなり多いのですが、そんな店に限って・・・という感じです。
「ソウルの達人・完全版」は一冊の本として読んでもじゅうぶん面白いのでお薦めします。
「ソウルマイハート2(背伸び日記)」は彼女がソウル・オリンピック開催時期に著作した前作「ソウルマイハート」の続編という形をとっていますが、女優「黒田福美の対韓国奮闘記」と「Maiking of ソウルの達人」言えるでしょう。一韓国マニアから更に大きな志を持った彼女のバイタリティとエネルギーとがこの本の隅から隅までみなぎっています。阪神・淡路大震災を通じて彼女がとった頑張りには思わず涙してしまいます。
目次で簡単に内容を紹介します。
1 暗がりから表舞台へ
・陽のあたる場所へ−映画「タンポポ」
・リポーターへの転身−「世界ふしぎ発見!」
・念願の韓国報道
・意外な転回−「ニュースバスターズ」
・ディレクターとの確執
・嵐の後
・晩餐会への招待
2 究極のガイドブック『ソウルの達人』の舞台裏
・「新たなるソウル」の発見
・究極の「ソウルガイド」を作ろう!
・取材のための取材へ
・本取材に向けて−在日カメラマンの決断
・いざ、本番!
・「ダイワリ」の謎
・余裕の第二ラウンド
・「子トラ事務所」開設
3 黒田福美写真展の誕生
・ひょうたんから駒
・てさぐりの写真展準備
・いよいよ開幕!
・大阪、そして神戸へ
・被災地から発信しよう!
・音楽の贈り物
4 被災地神戸からの発信
・日本人として
・被災地を撮る
・野外コンサート当日
・「さっき見てきた神戸展」へと
・徹夜の礼状書き
・被災地から発信−写真集『アプローチ』
・海峡を越えたマイハート
5 背伸びしながら
・通販カタログを作ろう!
・紆余曲折の「がんばってます 神戸」
・『ソウルの達人』バージョンアップ
・敗北を胸に抱いて
・2002年W杯に向かって
あとがきに代えて−私の十五年を振り返る−
一人の韓国に魅せられた女性が芸能人という特権があったにせよ、個人レベルで韓国という、日本人にとっては難しい国をここまで愛して、親善大使的な役割まで果たしてしまったきっかけ・・・。それは、あまりにも簡単なことだったわけですが(読んでのお楽しみ!)黒田福美さんが残した功績は(まだ続いているのだろうけれども)日本、韓国両国から賞賛されるべきものだと思います。
ちなみに黒田さんは、海部総理大臣時代に当時の大韓民国大統領・盧泰愚大統領を招いて催された歓迎晩餐会にも招待されています。
韓国に興味のない方も一冊の本としてもじゅうぶん楽しめるものなのでお薦めです。
「ソウルマイハート2」、「ソウルの達人・完全版」、「ソウルマイハート」この3冊で黒田福美・ソウル3部作と言えるでしょう。
これに写真集「アプローチ」を加えて人間、黒田福美さんの生きてきた証となるのではないでしょうか(残念ながら「アプローチ」はまだ手にしていません)。
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