猟奇的な彼女 / ネタばれ度:☆☆☆

そして、韓国映画の予告での決まり文句。「あのシュリを超えた」「あのJSAを超えた」など過去の大作映画を興行収益などで上回ったというフレーズばかりだ。これが韓国マニア以外にどのぐらいアピールできるのかといつも不思議に思っている。ターゲットを間違えていないのか?と思ってしまうのである。日本に住む韓国マニアに発信すれば良いというものではないだろうと思うのである。
この『猟奇的な彼女』だが、これもまたターゲットを間違えてたのではないだろうか。猟奇的な・・・この言葉を目や耳にして韓国や韓国語に詳しくないいわゆる普通の人のほとんどはホラー映画?と思うだろう。実際、私の周りのほぼ全員はホラー映画だと思っていた。韓国語での「猟奇的」とは日本語ではかなり古い表現だが「とんでいる」「変わっている」とかいう感じだろうか。配給会社は絶対に日本語題名をつけるべきだったのではないだろうか。原題のままの公開でずいぶん間口を狭くしてしまったように思える。
さて、映画だがこんなに面白い韓国映画にはそうそう出会えないかもしれない。『シュリ』『JSA』など朝鮮半島南北分断を扱った映画や『ペパーミント・キャンディー』など韓国の歴史に基づいての映画。どれもこれも重苦しい映画がばかり注目されてきたが、韓国の日常生活や街並みが登場するこの映画などのほうがずっと楽しめるように思える。
そして、大作と言えない日常映画は日本映画よりも数段優れている。それらがなぜ面白いかというと韓国人と日本人の発想の違いからくるのではないだろうか。日本人は映画の組み立てについてあまりにも神経質になりすぎるのだろう。けっしてそれが悪いと言うことではない。むしろ、普通であれば当たり前のことだから評価されるべきものだ。ただ、エンターテイメント映画を作る場合、もう少しハメを外しても良いのかなと思うのだ。
その点、韓国人はかなり大雑把に映画を捉えているようで多少の矛盾点など関係なし。この勢いが映画を面白くしているように思えるのだ。『猟奇的な彼女』もテンポがよく、細かい点でアレ?思うこともあるが、勢いがその疑問を上回るので最後まで楽しく見ることができる。韓国映画という枠を取り払っても面白い映画である。
猟奇的な彼女であるチョン・ジヒョンはこの映画以前にも韓国エンタではブレイクしている子だったと思うが、この映画で完全に韓国若手女優の代表になったであろう。以前、映画『イルマーレ』でもその不思議な存在感をかもし出していたが、『猟奇的な彼女』でもいろいろな感情の起伏を見事に顔の表情だけで見せてくれる。ちなみに彼女の役名は最後まで登場しない(たぶん)。
韓国は儒教の教えからか、日本に比べてまだまだ男尊女卑の社会であると認識している。だから映画の中の彼女のような女性は実際の韓国、それもソウルより地方ではまず見ることはできないのではないだろうか。大都市ソウルでも彼女のようなタイプはまずいないのだと思う。映画での彼女を見て韓国の若い男女がどのように思ったのか大変興味深い。
儒教の教えと言ったが、それがどのようなものなのかもよく分からない。お年寄りや目上の人を敬い大切にしようなどということもあるのだろう。映画の中でも電車で年配者に席を譲らない人を彼女が一喝するシーンもある。しかし、実際の韓国(ソウル)の街の中でバリアフリーなどという発想を見ることはまず難しい。乗り物で若者が積極的にお年寄りに席を譲っているが、実際のところは譲らないと年寄りが怒り出すからだとも聞いたことがある。不思議の国・韓国なのである。
『猟奇的な彼女』のもう一人の主人公が彼女のボーイフレンドであるキョヌを演じるチャ・テヒョンだ。彼もこの映画以前にテレビドラマなどの出演は多く人気俳優だったが、この映画以降、人気もうなぎ登りとも聞いている。歌手としてもCDをリリースしていてそれなりにチャートをにぎわせていたが、ちょっと太目の体を駆使してのダンス・パフォーマンスは見ていて痛々しかった。
チャ・テヒョンはテレビドラマでもちょっと三枚目の役のほうが生き生きしていたが、この映画でのキョヌのちょっととぼけたお人好しキャラクターはピッタリだった。と言うよりも彼なくしてこの映画は存在しなかったのかもしれない。それほどのはまり役である。
この映画に限らず韓国映画であまり気合の入っていない(大作でない)映画、例えば『イルマーレ』や『リメンバー・ミー』『八月のクリスマス』などを見終わった後に共通しているのは、けっして号泣はしないが、鼻の頭がツンとするような泣きになることだ。この感覚は大変心地良いものでなかなか出会えるものではない。見終わった後に幸せ感など感じてしまう・・・そんな映画が『猟奇的な彼女』である。
2003年公開。122分。監督:クァク チェヨン
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大阪ソウルバラード / オムニバス

2003年のプロ野球セ・リーグの優勝は阪神タイガースが1985年の前回優勝から実に18年ぶりに成し遂げた。
阪神が優勝することにより日本国の経済効果は相当なものになるらしい。一つの球団の優勝がこれほど取り上げられるのも阪神ならではのものなのだろう。
経済効果の一環になるであろう関連商売も数多く誕生しているようだ。その一つとして、このアルバム『大阪ソウルバラード』をあげてもよいのだと思う。
アルバムは大阪にまつわるバラードを収録したもので全15曲・11アーティストのオムニバス盤だ。どの曲も1度ぐらいは耳にしたことはあるだろうし、どのアーティストの名前も聞いたことぐらいはある人ばかりだ(私はM15の曲もアーティストも知らなかったが)。
ズラ〜ッと聴いてまず思ったのが、どのアーティストも歌が上手いということ。とにかく上手いし味がある。ただ、この上手さは演歌歌手の上手さに似ている点が特徴的だ。そして歌詞もベタベタの演歌風が多い。
そもそも日本の音楽ジャンルの中でバラードと演歌の違いはかなり曖昧でその分けかたといえば、誰が歌っているかで決まるのではないだろうか。
ある曲を、山本譲治が歌えば演歌。しかし平井堅が歌えばバラードとなってしまう。このアルバムに収録されている曲も同じで、はたしてバラードなのだろうかという疑問は大いにある。しかし、土着性というか説得力は抜群でそれらが文句なしに楽曲の良さを高めている。
同様の企画を東京をテーマにした場合、まず地域が拡散してなかなか「東京」という括りで収めることが難しいだろう。渋谷、銀座、原宿、浅草など地域を取り上げた曲が多くなってしまうのが東京的であるし、収録アーティストもピチカート・ファイブなどオシャレ系が名前を参じることになるだろう。このあたりを見ても大阪をテーマにしたこのアルバムとは大きく趣が変わってくることだろう。
私は、関西生まれではないし、生活すらしたこともない。しかし、このアルバムに共鳴できるのはもしかしたら心の中に演歌の根が生えているからかもしれない。ふだん演歌を毛嫌いしているが日本人であることの再認識がこのアルバムによってできた可能性がある。この感覚は素直に受け止めるべきだろう。
阪神の優勝によって経済効果が上がるのであれば、今の日本国にとってこれほど良いことはないだろう。このめでたいイベントにJR各社も期間限定で大阪に向かう列車をすべて「上り」とするぐらいの遊びを見せて欲しいものである。
更には、アメリカにロスとニューヨークというまったく違った特性の都市が存在するように、日本も大阪と東京をロスとニューヨークと同じような位置付けにしても面白いかもしれない。それには、まず首都を東京からどこかに移転する必要があるだろう。
01.やっぱり好きやねん / やしきたかじん
02.悲しい色やね / 上田正樹
03.大阪で生まれた女 / BORO
04.酒と泪と男と女 / 河島英五
05.生まれる前から好きやった / やしきたかじん
06.大阪ビッグ・リバー・ブルース / 憂歌団
07.大阪エレジー / シャ乱Q
08.なめとんか / やしきたかじん
09.いじめやんといて / トミーズ雅
10.OSAKA ON MY MIND / 上田正樹
11.あんた / やしきたかじんCAMEROON
12.お前が好きやねん / 門田頼命
13.大阪で生まれた男 / 間 寛平
14.大阪恋物語 / やしきたかじん
15.おやすみ大阪 / ファンキー・プリンス
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スピード違反・24km/hオーバー
その海岸線を我が家の愛犬・大福を乗せて運転していたらバックミラーに白バイの姿が。カーオーディオのボリュームを小さくしたら「その先を左折して停まりなさい」みたいなことを言っている。ちょうど帰るためには左折する個所なので曲がって停めた。
白バイ隊員が降りてきたので窓を開けて応対。「ちょっとスピード出ていましたね、何キロで走っていたか分かりますか?」なんてやけに丁寧な口調だ。聞けば制限速度50km/hのところを24キロオーバーの74km/hで走っていたそうだ。白バイにはスピードガンみたいなのが付いているのを見せてもらって初めて知った。ノラリクラリと世間話のような話をしていたが、どうも許してはもらえそうもないので確認したらやっぱりダメとのこと。理由はスピードガン使用の結果報告を作らねばならないので青切符を切るとのことだった。こうなっては暑いところで立ち話していても仕方ない。車の中の愛犬・大福が熱中症を起こしては心配なので家の前までついて来てもらうことにした。
家の前で白バイ隊員を待たせて家に大福を連れて行った。この時点でこの白バイ隊員は大きなミスを一つ犯している。停められてから家に入るまで一度も免許証の提示を求められなかった。もしも免許証不携帯であれば家に戻って所持することもできたわけだ。
家に戻ってまず思ったことはこのまま出ていくのやめようかなということだった。しかし、そうもいかないのでノコノコと出て行った。
ここで腹をくくってひと言。「今日の件はサインしないので」と。
すると白バイ隊員は「いいですよ、どうするつもりですか?」とまだ温厚な顔で応対してくれている。「呼び出し来れば出頭するので」と応対。
それに続いて、昔のある違反騒動の話を披露した。
それは・・・。
2000年の秋、東京都中央区月島で一時停止違反で捕まったことがある。細い路地で時速10km/hぐらいでしか走れない個所での摘発だった。こんなケースはほぼ注意で終わるはずなので警察官の言いなりにヘラヘラ対応していたが、青切符にいろいろ書き始めるではないか。それで「違反切符切るんですか?」と尋ねたところ「もちろん」と言い出すので「じゃぁ、さっきはキッチリ一時停止しました」とゴネ始めた。その後管轄交番で調書を取られ帰宅した。後で月島署に出頭してもらうが面倒なことになるよと釘を刺される。
指定の日に月島署に出頭。異議の申し立てをする気持ちに変わりはないかと打診されたので、ないと答える。千葉の裁判所から出頭命令が来るのでそちらで解決してくれとのことだった。
そしてその後、待てども(待ってはいなかったけど)出頭命令は来なかったので、これは上手いこと逃げ切ったかなとほくそえんでいた。
そして、去年の免許書き換えの時、事前に来た案内書を見た時、とんでもない事実を知った。なんと、その時の一時停違反分の2点が減点されていてゴールド免許を取得できなかったのだ。
すぐに検察庁に確認をとって事情説明に行ったら、調べて連絡するとのことだった。以来、1年以上経過するが何の音沙汰もないままである。
反則切符も切られず、反則金納付書も発行されていないのに、点数だけ減点されたわけだ。
こんなことがあったので、この件がクリアされていないので今回のスピード違反についてはサインする意思はない。先の件がクリアなってから順番に対応するので今回の違反についても相当時間がかかると思うと白バイ隊員に伝えた。ついでに意見を求めると「これは警察の怠慢だと思います」とのこと。「そういう話であれば今回は切符は切りません。その代わり警告とさせてもらいます、いいですか?」とのこと。
結局、警告だけでスピード違反の事実は抹消されてしまった。個人的には反則金1万5000円と点数2点を失わずにすんだので大万歳なのだが、何だかなぁという気持ちもなくはない。
スピードガンを使用した報告書は何も切符を切らずとも警告書でもすんだわけである。要は白バイ隊員の腹一つであったということだろう。
何ともパッとしない落としどころである。
今回の教訓としては、
1.嫌いな警察官であっても喧嘩腰で話さない。
2.切符を切られる前に交渉をする。
というところだろうか。切符は公文書扱いだから書き始めてしまうと抹消することができないようだ。
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