青山ブックセンター閉店
さて、青山ブックセンターだが、六本木の文化の拠点となる『WAVE』が開店するのは、青山ブックセンター開店後3年経った1983年だったかなので、六本木に文化の香りを築き始めたのはずいぶん早い時期といえる。
ただ、自分にとってはそれほど重宝はしていなかったかな。洋書に重点を置いて、いわゆる本屋としての本分からはだいぶ鬼っ子だった印象が強い。八重洲ブックセンターなんかに比べると圧倒的に和書の種類が少なかった。けっしてアート系ではない自分にはじゅうぶん魅力が伝わらなかったのだと思う。だから、本を買う時は交差点にあった「誠志堂」を利用していた。
青山ブックセンターに来ていた自称ダサくないお客も好きじゃなかったのだと思う。決定的だったのは、店員さんたちのやけに誇りを持ったオーラが自分には合わなかった。なぜに文化の香りを醸し出している店で働くと、自分が偉くなったと錯覚してしまうんだろう。これは当時だけのことではなく今も同じだから笑える。
余談になってしまうが、代官山のT-SITEの「蔦屋書店」でお笑い芸人の著書を探しても見つからないので年配の女性店員に尋ねたところ、「お笑い芸人の本は取り扱っていないんです」ときた・・・。そうなんだぁ、よく分からないけど、じゃ、これはどうなの?と思って質問してみた「ここに又吉の本が平積みになってるけど、これはどういうことなの?」と。すると、「又吉先生は受賞もなさっているので・・・」と。話の途中で言葉をさえぎって更に尋ねた。「賞を受賞しようがしてまいが、彼はお笑い芸人だよね?」と。この段階で女性店員の目は泳ぎ始めてさっきまでの上から目線はすっかり消えていた。ま、それ以上話してもイジメぽくなってしまうのでやめておいたが、なんだろね?あの上から目線な接客は・・・。「青山ブックセンター」も代官山の「蔦屋書店」と同じ匂いがしていたのを思い出してしまう。
テレビで「青山ブックセンター」の閉店をニュースとして扱っていたが、最後の営業の閉店間際に店長さん以下が店前に出てきて閉店の挨拶をしている絵が流れていた。お客が店長に花束を渡しているシーンもあった・・・ん?待てよ。このシーンって・・・。なんだよ、大手スーパーの閉店時のセレモニーと同じじゃないか!
かくして、『青山ブックセンター』は、38年の営業を終えた。
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