チョン・ドジョン(鄭道伝)
何を血迷ったか、久しぶりに韓国時代劇ドラマ『チョン・ドジョン(鄭道傳)』なるモノを見てしまった。全50話なので、NHK大河ドラマ1年分以上の長尺である。
朝鮮王朝の建国の時代だから、日本だと足利義満の頃だろう。で、感想はというと「やっと見終わった」って感じ。途中から、早く終わらないかなという気持ちのほうが強かった。多少、知識ある時代背景なので理解しやすいこともあるが、この人、死ぬんだよなぁ・・・とか、死なないんだよなぁ・・・てのが分かってしまうのはイイことなのか悪いことなのか微妙だった。
ただ、時間軸の進行はおそらく大きく歪めていないようなことは評価できた。
いくらフィクションとはいえ、歴史の時間軸をイジってしまうのは反則でしかない。例えば、フレディ・マーキュリーの映画『ボヘミアン・ラプソディ』。これはもう論外。映画の一番の最高潮に据えた1985年のLIVE AIDでのコンサート。LIVE AIDの時、クイーンのメンバー3人だけでなく、フレディ自身も自分がエイズに冒されているなんて知らなかったはずだからね。いくら、話が盛り上がるとしても史実を加工するのはダメだって・・・。
で、『チョン・ドジョン』だが、彼は朝鮮王朝の初代王である太祖(テジョ)ことイ・ソンゲの片腕であり国家建立の立役者だった人。
この朝鮮王朝建国の時代のドラマは、このドラマ以外に『龍の涙』(こちらは、なんと全159話だ!)と『六龍が飛ぶ』も見たのだが、どうも初代王である太祖(テジョ)ことイ・ソンゲってのが、どうにもイケてない。優柔不断で己を持っているような持っていないような・・・。自己を主張するのだが、あっさりと人に説得されてしまう。それが原因で政治に関わる臣下は上へ下への大騒ぎとなってしまう。全編、ほぼそれの繰り返し。もちろん、片腕であるチョン・ドジョンも大迷惑を被ってしまうことになる。このドラマのストーリーに肩入れできない理由には、朝鮮王朝の歴代の王たちに限らず、朝鮮王朝以前の高麗(こりょ)王朝時代の王たちも皆、隣国・中国の皇帝の許可を得ないと「真の王」として認められなかったという中韓の関係があるのかもしれない。朝鮮が中国の属国扱いされるゆえんなのかもしれない。その意味でも含めて、イ・ソンゲから始まる朝鮮王朝は不惑のスタートを切ったのかもしれない。
チョン・ドジョンの生き方をメインに据えた朝鮮建国の物語・・・。ハッキリいって、無理に見る必要はないドラマといえよう。人にはお勧めしないドラマかな。ただ、先に挙げた『六龍が飛ぶ』はかなりの優れモノなのでぜひ機会をあれば・・・(但し、こちらもオリジナルは全50話、レンタル版は全61話の長丁場)。史実に沿ったフィクション・ドラマだが活劇シーンも見どころがあるし、こちらのほうがチョン・ドジョンの生き方や考え方が見て取れるように思える。
■ 六龍が飛ぶ(予告編)
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