渋野選手、神対応の功罪
ゴルフ。全英女子オープンを制して一躍、時の人となった渋野日向子選手。
彼女の神対応(好きじゃない言葉・・・)ぶりが話題になっている。次のホールに向かう狭い通路の左右を取り囲むように溢れているファンたちに笑顔で握手したりハイタッチを返す姿を神対応と評するらしい。
この対応に長嶋一茂さんが、すぐにやめるべきとテレビでいっていた。まったく同感なので、たまにはイイこというじゃないかと感心したのだが、彼がやめるべきといった理由は、握手しても手を離さないファンがいると選手の手や腕を痛めてしまうこともあり得るからということだった。実際、プロ野球の松坂投手が腕だか肩だかを痛めて治療の憂き目にあったことがあるというエピソードを紹介していた。なるほどなと思った次第である。
しかし、自分がやめるべきと思う理由は、もっと違った視点からのもの。
それは、他の選手のファン対応に大きな影響を与えてしまうからである。
というのは、渋野選手のファン対応が「当たり前」とファンに浸透してしまうと、今までホール間移動で移動を優先としてきた多くの選手に対するイメージが変わってきてしまうからである。いい方を変えれば、強迫観念というのは大げさかもしれないが、他の選手に大きなプレッシャーを与えてしまうことにも繋がる。他の選手たちも渋野選手の対応を見習わなければならなくなってしまうことを危惧するのである。
多くの選手が自意識のもとにファン対応を考えねばならなくなってしまったこと。そして、渋野選手の対応ぶりを導入した際に、長嶋一茂さんが危惧する予期せぬ事故の発症も起こり得るであろう。
こういう部分まで渋野選手のブレーンは考えてほしいなと思ってしまうのである。まさに、神対応の功罪といえよう。