2つの『SUNNY』
新聞のテレビ欄を見てたら、WOWOWでSUNNY(サニー)の文字を発見。夕方から韓国盤オリジナルの『サニー 永遠の仲間たち』を。そして、そのすぐ後に日本版リメイクの『SUNNY 強い気持ち・強い愛』を放送するとのこと。
これは夜が楽しみだ。韓国オリジナル盤の『サニー 永遠の仲間たち』は、洋邦韓の映画の中で常に自分好みTOP10に入るほどのお気に入り。お気に入りゆえに日本版リメイクを見に行く気になれなかった。悲しいかな、こと映画に関しては、残念ながら韓国映画のほうが優れているモノが多い。これは贔屓目ナシにそう思うからだ。特にこの映画はお気に入りなので、けがされるような思いもあってなのかもしれない。
韓国版が1986年(民主化運動の真っ只中)と2011年が舞台になっているが、日本版は1990年代と2018年とちょっと昔の時代のフォーカスが惚けている点も気になっていた。そして、今、日本映画『新聞記者』にダブル主人公として出演しているシム・ウンギョンの役が広瀬すずなのにも違和感があった。韓国版のシム・ウンギョンはソウルの高校に転校してくるが、ソウルの高校生の洗練された姿に驚く。実は、彼女、転校前の高校では一番美人ともてはやされていたが、美人のレベルがぜんぜん違うことに大きな衝撃を受けていた。中でもSUNNYという女子のグループの中にいるスジの美人ぶりには驚愕どころか崇拝してしまうほど。このスジの役を日本版ではauのCM、親指姫・池田エライザが演じているようなので、これはちょっと楽しみだ。
韓国版ではボニーMの曲『SUNNY』が映画の重要なキーワードになっているが、日本版ではストーリーに関係してくるのだろうか。そして、ローカル美人だったシム・ウンギョンの役をどう見ても全国レベルの美人である広瀬すずがどう演じるのか。『モテキ』の大根仁監督の手腕を楽しみにしながら三連休最後の夜を過ごすこととしよう。日本版、板谷由夏の役は当初は真木よう子で想定されていたらしいのも想像力をかき立てられる。
■ 韓国版『サニー 永遠の仲間たち』。
■ 日本版『SUNNY 強い気持ち・強い愛』予告。
■ 韓国版『サニー 永遠の仲間たち』予告。
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忖度な第91回アカデミー賞
ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~
ネタバレ度:★★(3点が全バレ)
満足度:★(5点満点中)
面白そうな匂い出していたのになぁ・・・(~_~;)
久しぶりに自分の趣味でない映画に出会ってしまった。これは全然面白くない。嵐の二宮和也さんは芝居が上手いとの評判だったが、『硫黄島からの手紙』でもこの映画でも上手さをまったく感じられない。彼が出る映画は熱狂的なファン御用達だけの映画なのかもしれないな。申し訳ないがなに一つ響いて来るものがなかった。
ストーリーも面白そうな気配はあるのだが、冒頭で「全ての味を記憶・再現することができる」料理人が腕をふるうのだが、死を直前に迎えたのであろうクライアントからのリクエストであるオムレツを作り、クライアントを感動させる。そのお値段、実に100万円だ!しか~し、一度も食べたことのない料理をどうやって再現できるのか?との疑問が湧いてしまう。
その後の展開もひと言でいえば、テレビのモニタリングとRPGを合わせただけ。調理のシーンも出来上がった料理も魅力に欠ける。従って「大日本帝国食菜全席」も魅力的に見えてこない。
正直、久しぶりに駄作に出くわしてしまった・・・。
2017年公開。
上映時間:126分。
出演:二宮和也、綾野剛、西島秀俊、宮崎あおい
■ 予告。
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マスカレード・ホテル
ネタバレ度:★(3点が全バレ)
満足度:★★★★(5点満点中)
またしても東野圭吾原作の映画を視聴。原作モノの映画化の際に毎回迷うのは、輝かし頃の角川映画の名コピー、「読んでから見るか、見てから読むか」の選択。
今回は、読んでから見た・・・となる。読んでから見る場合、登場人物のイメージが強制されないところにある。それと、細かいディテールを理解することができる点か。逆に見てから読む場合は、映画の配役のイメージに沿って読みを進めるので登場人物に対しての思いがより具体的になることは間違いない点だろう。
ただ、今回は、原作を読む段階で主役の2人の配役が木村拓哉さんと長澤まさみさんであることを知っていたので、いつもの「見てから読む」とは少し違ったかもしれない。
で、読む先と見る先・・・どちらが良いだろうと考えた場合、この映画に関しては読んでから見るほうを勧めたいかな。
冒頭の連続殺人の現場に残された謎めいた数字の羅列。おそらくその数字の意味はほとんどの読み手は推理できるだろう。しかし、その数字には少し手が加えられていたことは、映画では端折って処理されている。そのあたりの深みのようなものは映画という
上映時間を制限されている条件では端折るしか仕方ないところなのだろう。そういう意味も含めて読んでから見たほうが良いのかなと思うのである。
刑事・新田浩介とフロントウーマン・山岸尚美の役を木村拓哉さんと長澤まさみさんでキャスティングを実現できたことがこの映画の全てといって良いだろう。それほど2人の好演は光りすぎていた。ホテルでの殺人予告を阻止するために送り込まれた新田刑事と、その刑事をホテルマンとして教育していく山岸。お客を疑いの目で見る新田刑事とお客の安全と快適さを守ろうとする山岸。この2人の価値観の違いの幅が徐々に狭くなっていく過程が楽しい。「客」ではなく「お客様」・・・始まりはそこからだ。
主役の2人だけでなく、客に扮していろいろ俳優が登場してくるが、これらは映画ゆえにだいぶ過剰演出されていてちょっと引いてしまう。実際、一流ホテルといわれるホテルで映画ほど大声で怒鳴りまくる利用客はいないのではないか?その点から考えると「ホテル・コルテシア東京」の客筋はあまり良いとはいえない。ということは、このホテル自体の評価も推して知るべしなのかもしれない。そうそう、原作を読んでいる時にホテル内の描写がどうも箱崎にあるロイヤルパーク・ホテルぽいなと思っていたら、やはり同ホテルがクレジットされていた。
あ、ホテルの事務棟?の屋上で新田と山岸が会話するシーンが何度かあるが、この屋上、囲いがなく実に危険。これがすごく気になった。危ないですって・・・(~_~;)
物語も面白かったが、ホテルの裏事情も描かれていて面白い映画だった。そして、なにより木村拓哉さんはカッコ良いね。映画終わりのクレジットロールで大物タレントさんがクレジットされていて驚いた。登場シーンがまったく分からなかった(ネットで見て、ようやく知った次第)。
ホテルマンは、お客様の仮面を剥がしてはならない。まさにホテルは、仮面舞踏会(マスカレード)なのである・・・。
2019年公開。
上映時間:133分。
出演:木村拓哉、長澤まさみ、渡部篤郎
■ 予告
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集英社 (2014-07-18)
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tag : 映画 マスカレード・ホテル 東野圭吾 木村拓哉 長澤まさみ ロイヤルパーク・ホテル
タクシー運転手~約束は海を越えて~
ネタバレ度:★★(3点が全バレ)
満足度:★★★(5点満点中)
期待しすぎてしまったんだなぁ・・・。日本での公開後の評判。そして、ソン・ガンホや光州事件というキーワードに過剰に期待しすぎてしまった感は否めない。そして、少しばかり光州事件なんかについて知識があったことも思いがけずの低評価になってしまった理由なのだと思う。
この映画を見る前に或いは見た後も合わせて『光州5・18』や『ペパーミントキャンディー』を見ると、この映画『タクシー運転手~約束は海を越えて~』(以下、タクシー運転手)の見え方もだいぶ違ってくると思う。
光州事件は、1980年(昭和55年)5月に韓国の広州市で起きた事件であり、事件当時は、政府のマスコミ統制により韓国内では、市民たちが起こした「暴動」としか取り上げられなかった。しかし、事件後の民主化に伴い、暴動の真相が徐々に明らかになり「光州民主化運動」と呼ばれるようになった。
この映画は、その事件の真っ只中に事件の真相を暴くべく、光州に向かい取材を敢行したドイツ人ジャーナリストで東京に駐在していたユルゲン・ヒンツペーターと彼をタクシーに乗せて光州に向かったタクシー運転手キム・マンソプの話だ。単に金に目が眩みドイツ人記者を光州まで送り届けるはずのマンソプは光州のタクシー運転手らと知り合うことでいつの間にか命さえ危険にさらしながら光州事件に巻き込まれていく。そして、正義感も相まって、なんとかドイツ人記者をソウルまで送り届ける。
1979年(昭和54年)に朴正煕:パク・チョンヒ元大統領(パク・クネ前大統領の父親)が暗殺された後の混乱期に韓国内では当時の全斗煥:チョン・ドファン大統領の政治に対して市民運動が韓国各地で起きていたが、光州は特に活動規模が大きかったとのこと。実際に、光州のタクシー運転手達の結束は固く、おおよそ200台近くがデモに参加し、怪我した市民らの搬送などに活躍したらしい。ちなみに、『光州5・18』の主人公も光州のタクシー運転手である。
光州での取材を終えて、ソウルに戻ったユルゲン・ヒンツペーターは韓国を出国して、全世界に光州での出来事(軍による市民の武力制圧)動画と記事を配信し世界はこの事件を知ることになるのだった。ソウル・オリンピックが開催されるわずか8年前に、政府によるマスコミ統制などがまかり通っていたことにも興味深い。
さて、この映画は史実に基づいて制作されているわけだが、ちょっとだけ史実をかじった者としては腑に落ちないこともあった。ソン・ガンホ演じるキム・マンソプは自在の人物である。実際のマンソプは、キム・サボク(金砂福)という人だ。このサボクという人がなかなか怪しい。映画では、タクシー仲間の話を耳にして上客であるヒンツペーターを強引に奪い、ソウル・光州間を往復するが、実際は、なんらかの契約があって金浦空港にヒンツペーターを迎えに行っている。どのような経緯での予約かは定かではないが、キム・サボクにはいろいろな背景を持っている人物として史実に登場する。
光州事件より遡る1974年(昭和49年)に起きた「文世光事件」(朴正煕元大統領を暗殺しようとした在日韓国人の文世光:ムン・セグァンが暗殺に失敗。その隣にいた大統領夫人を殺害してしまった事件)で、暗殺犯のムン・セグァンを朴正煕元大統領らがいる式典の会場まで乗せた車(一般タクシーではなくホテルタクシーと呼ばれる車)の所有者がキム・サボクなのである(運転していたわけではない)。
文世光事件と光州事件がキム・サボクという人物を介してにわかに繋がりを見せたのは大変興味深い。朝鮮総連が文世光事件をに関与していたのではないか?更に、光州事件を世界に露呈させることで韓国の政治に大打撃を与えるためにヒンツペーターが送り込まれたのではないのか?との説が存在するのも事実である。映画『タクシー運転手』の主人公2人が史実の中ではどのような役割だったのか・・・と、考えるといろいろ思いは巡る。キム・マンソプ(キム・サボク)がもっと史実に近い位置づけだったら、映画自体もまったく違うモノになっていたのだろう。
同じように話題の『ボヘミン・ラプソディ』(未見)でも1985年のLIVE AIDの時にQUEENのメンバーは、フレディのHIV感染を知っていたと描かれているらしいが、メンバーがフレディから正式に打ち明けられたのはLIVE AIDからだいぶ経ってからだと記憶している。
ドキュメンタリー映画ではないから史実に忠実である必要もないが、どこを事実として、どこをフィクションとして描くか・・・史実の映画化は難しい。
主人公2人が光州からソウルに向かう検問所でオム・テグ演じる政府軍兵士が、タクシーのトランクの中からナンバープレートを偽装した決定的証拠を見つけるが、見なかったこととして通過させる。政府軍の兵士の中にもこの事件について大きな疑問を抱いている者がいたというわずかな証なのかもしれない。
2018年公開。
上映時間:137分。
出演:ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン
■ 予告:
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売り上げランキング: 2,360