
映画「シュリ」がそこそこヒットしたせいもあってか、韓国のエンターテイメントが以前よりも注目されているようだ。と言ってもそれは以前の20点に比べて30点になったかどうかという程度でマイナーであるという点では変わりない。
韓国エンターテイメントの中で音楽についてはHIP HOP、RAPの水準はかなり高いことについてはことあるごとに言ってきた。その音楽を含めて韓国のエンターテイメント「入門」といえる本が出版されたので紹介したい。
はっきり言って、この本は大変よく取材されているし素晴らしい出来に仕上がっていると思う。ただ惜しいのは「韓国」というブランドのせいかもしれないし、出版元の事情もあってかあまりにも宣伝されていないことだ。私めがこの本を手にしたのも全くの偶然だった。八重洲ブックセンターに他の本を探しに行った時にカミさんが「こんな本あるよ」と見つけてくれたのだ。本を手にしてペラペラとめくってみるとなかなか面白そうだった。買ってみるかと値段を見ると2000円。売れないことを前提にしての値段設定かと思ってしまうほどの微妙な値段だ。更に残念なことに、友人知人に紹介するも、ほとんどの書店に置いていなかった。実際、私めも近所の書店や大型書店などに行ってみたが結局、八重洲ブックセンター以外で目にすることはできなかった。
「韓国」に対するマイナーさを実感させられる結果だった。2002年ワールドカップの共催。日本文化の開放。と言っても日本の韓国に対する関心度は相変わらず低いということだろう。
しかし、この本自体は大変素晴らしい本であることは事実だ。著者の田代親世(たしろちかよ)さんはテレビ局のアナウンサーから独立してフリーアナウンサーをされている方だ。韓国エンタに嵌る前は、香港エンタに嵌っていたそうだ。このての本の面白い面白くないの決め手は書き手の意気込み、息づかいが感じられるかにかかっている。その点でもこの本はじゅうぶんに合格だろう。著者の興味がまだ発展途上な分、貪欲なエネルギーが感じられる。エネルギーだけでなく、著者のフィルターを通しての韓国エンタの現状が読む側に紹介されている。アナウンサーとしてのキャリアから人に伝えることの重要さが自然に出てくるのかもしれない。単なる事象の紹介だけでなく、著者の感じる韓国エンタについても要所要所に語られているので、韓国エンタに興味のある人にもこれから知ってみたいという人にもどちらにも満足感を与えることのできる丁寧で躍動的な一冊である。
目次から
第1章 韓国歌謡界のアイドルたち
★H.O.Tインタビュー
★アイドル紹介
ジェクキス / 神話 / god / ユ スンジュン / チョ ソンモ / Y2K
テサジャ / NRG / S.E.S / FIN.K.L / BABY V.O.X / オム ジョンファ
イ ジョンヒョン /キム ヒョンジョン / パク チュン
★SMエンターテイメント総プロデューサー、イ スマン氏インタビュー
★韓国芸能界あれこれ
第2章 銀幕、お茶の間のスターたち
★スターインタビュー4連発!イン ソウル
アン ジェウク / イ ビョンホン / リュ シウォン / ユン ソナ
★スター紹介
ハン ソッキュ / チャン ドンゴン / チョン ウソン / イ ジョンジェ
チャ インピョ / パク シニャン / キム ミンジョン / シン ヒョンジュン
ペ ヨンジュン / キム ソックン / ソン スンホン / チャ テヒョン
ハン ジェソク / ジャン ヒョク / チェ ミンス / パク チュンフン
チェ ミンシク / アン ソンギ
チェ ジンシル / シム ウナ / チョン ドヨン / コ ソヨン
キム ヒソン / イ スンヨン / キム ヘス / チェ ジウ / ソン ユナ
チュ サンミ / キム ハヌル / キム ヒョンジュ / イ ナヨン
コ ホギョン / カン スヨン
第3章 『シュリ』がやってきた!
★『シュリ』100万人突破パーティー
★チェ ミンシク、キム ユンジン インタビュー
★『シュリ』のあとに・・・シネカノン代表、李鳳宇氏インタビュー
★韓国映画選
ラブコメディ--チム / 日が西から昇るなら / 敗者復活戦
コメディ------スパイ リ チョルジン
メロドラマ----ラブ / 美術館の隣の動物園 / カラ / 情事 / インシャラ
SFX大作-------銀杏の木の寝台 / ザ・ソウルガーディアンズ<退魔録>
その他--------情け容赦なし / テルミーサムシング
第4章 テレビ局潜入レポート
★「SBS人気歌謡」見学
★「真夜中のTV芸能」制作裏話・芸能取材に同行!
第5章 韓国のテレビドラマ
★韓国ドラマの基礎知識
★ドラマ王国MBC訪問
第6章 韓国ミュージックビデオ鑑賞のすすめ
★韓国のミュージックビデオ
おまけ
★日本で、韓国で
あとがき
目次だけ書いてみても読み応えを感じることができると思う。また一人韓国に関して注目、注意しなくてはならない人が登場してしまった。
- 関連記事
-