
私めが韓国のポップスに興味を持つきっかけになったのがUPTOWNという女1人と男3人組のグループだ。1998年2月にNHKのASIAN MUSIC FESTIVALに韓国代表として来日した。他のアジアのアーティストに注目していたのだが、UPTOWNの登場によって一気に興味は彼らに移ってしまった。それほど彼らのステージはインパクトのあるものだった。そして初めて韓国アーティストのレコードを買ったのがこのアルバムだった。
私めが見たUPTOWNとこのアルバム時のメンバーは全員アメリカからの帰国子女らしい。そしてこのアルバムは彼らの2ndアルバムまでのベスト盤だ。彼らはHIP HOP・RAPのグループなのだが、韓国語がここまでRAPに適しているとは彼らに遭遇するまで全く気がつきもしなかった。彼らに触発されて、韓国のHIP HOP・RAPのレコードをいろいろ聴いたが、そのどれもがなかなか優れたHIP HOP・RAPを披露してくれた。そして韓国でのRAPの日常性はアイドル・ポップスの曲でもRAPが導入されていることでも証明されるようだ。
このアルバムでのUPTOWNはR&B調の曲からハードで攻撃的なRAP、甘いバラード調の語りかけるようなRAPまで様々なRAPを披露してくれる。しかも英語と韓国語が見事にミックスされていて、意識しないと韓国語で歌っていることを忘れてしまうほどリズムに乗せている。ベスト盤ということで楽曲も優れているものばかりだ。
HIP HOP・RAPというジャンルにちょっと壁を感じている人や韓国の音楽に多少でも興味ある人、そして韓国の音楽ということで過小評価している人などもまずこのアルバムを聴いてみることをお薦めする。きっと自分の音楽趣味が拡大するのではないだろうか。
韓国の音楽ということで入手するのは少し困難かもしれないが、TOWER RECORDなどを探すと入手できる可能性は高いと思う。
UPTOWNはこのアルバムのリリースの後に2枚のアルバムをリリースするが(1枚は女性ボーカルのターシャことユン・ミレが脱退で新女性ボーカルで)メンバーが大麻で逮捕などの事件があり、自然消滅をしてしまった。
日本ではDRAGON ASH、m-floなどがHIP HOP・RAPの代表格とされているわけだが、彼ら程度の力量のグループは韓国にはかなりの数が存在している。ただ残念なことにセルフ・プロデュースできるグループは驚くほど少ない。そんな中でUPTOWNはセルフ・プロデュースで活動してきた。このアルバムはそんな彼らが一番光り輝いていた時期のベスト盤だ。
このアルバムの面白いところは、典型的な夜型アルバムだということだ。昼間聴くのと夜聴くのではだいぶ印象が違う。夜、車に乗りながら聴くのが一番良いシチュエーションかもしれない。
ちなみに彼らの容姿は残念ながら全く良くないことを付け加えておく。残念。
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