たけしの20世紀日本史 / ビートたけし

何かとアジア諸国から問われる日本の歴史問題。中でも近代史においてはなかなか学校教育では学ぶことができなかったのは事実だ。古い時代から勉強が始まるので現代史は3学期の何かと学校行事の多い一番落ち着かない時期になってしまう。だからと言うことでもないのだろうが、扱いも他の時代と違って内容的に少なく、先生も何気に端折って教えていたような印象があった。教えてもらう側も明治時代の頃になると大方終わってしまったように、歴史の時間は息抜きタイムになっていたような。
ところが実は、この現代史の勉強が我々には一番大事なことであったと、全く気づかずに社会を生き抜いてしまう人がほとんどのようだ。実際、私めもその一員だった。香港映画に興味を持ったり、アジアを旅行したり、韓国ポップスや映画に興味を持つことで初めてアレ?知らないことが多いぞ。と気づいたぐらい遅かった。気づいて知ってみると驚くことが多かった。
自分が多少知ったからと言って、偉そうに人に能書きをたれるつもりもない。ただ、知らないよりも知ったほうが断然良いということだけは言える。同じアジア人としての立場から他のアジアの国を見ることもできるし、近隣アジアのニュースなどもより身近なこととして認識できるようになるだろ。しかし、なかなかきっかけになるものは多くない。
この本は、ビートたけしが日本の現代史に関して自らの考えを相変わらずの切り口で語ったものだ。どこまでが本音かは分からないが、日本の現代史に興味を持つきっかけにはおおいになると思う。
第1部 原点は日露戦争
知らぬは日本ばかり
やはり乃木大将はエラかった
「電小僧」に「出歯亀事件」
世にも奇怪な「取り入れ文化」
「大国」になり上った日本
第2部 「芥川」から阿部定まで
東郷平八郎はいずこ
「処女会」に150万人!
「阿部定」はエラかった
「戦争に勝ってぜいたくしよう」
第3部 太平洋戦争始末記
日本の戦争はマイナーリーグ
いったいどこまで行くんだ
東条首相の算術
世の中変わったはずなのに
親父がペンキを塗った飛行機
日本が分断国家になってたら
第4部 焼跡から安保騒動まで
コンビーフの缶詰に感動
リーゼントにアロハシャツ
額縁ショーに群がる人々
「一億総白痴化」の始まり
美智子妃登場と売防法
トリスを飲んでハワイに・・・
第5部 オリンピックからオウムへ
情けなかったオリンピック
光化学スモッグはどこへ
万博は昭和のお伊勢参り
あっと驚く漫才ブーム
85年から世界が変わった
「誰でも食える」大変な国
戦後50年馬鹿
日本人がいなくなった
解説 立川談四桜
この本は1996年に刊行されたものだ。ビートたけしの語り口なので内容に関しては一言ある方も多いかもしれない。ただ、先にも述べたように我々平和ボケしている日本人はなかなか日本の現代史に触れる機会がないのである。意識の問題と見るむきもあるだろうが、このような本がそのきっかけになってくれれば出版された本当の意味はあるのかもしれないと思う。
裏表紙にこんなことが書かれている。
口に出せないことばかり。タブーまみれの現代史。
そこでおいらが集中講義をやるはめになった。
戦前までは無理と意地。戦後は効率と無責任を金科玉条に日本人は成り上がる。高度成長以降は、貧を忘れ品を失った。
自由と我儘、平等と横並びを履き違え、いまや摩訶不思議な大国なった日本!
日露戦争からオウム事件まで、北野教授が開陳する、文部省検定不能、新訂・日本史教科書!
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THE CREAM OF CLAPTON / ERIC CLAPTON

だいたいの発売レコードについては網羅していると自負している私だったが、このクラプトンのベスト盤はまったく知らなかった。中古レコード店で発見した時は「何コレ?」という感じだった。クラプトンのベスト盤は数多く発売されているし、しかもどれもこれも同じような選曲なので全く興味がなかった。しかし、このベスト盤はちょっとお奨めしたい。
何よりもクラプトンがギタリストとして光り輝いていたころのクリーム時代の曲が入っているからだ。最近の(といってもここ15年ほどの)クラプトンしか知らない方はグラミー賞にもノミネートされるほどの渋い歌声のおじさん、という印象しかないと思う。しかし、1970年代のクラプトンは、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジと並んで3大ギタリストとしてイギリス、いや世界のロック界に君臨していたこともあるのだ。ジェフ・ベックが孤高のギタリストとして、ジミー・ペイジが変人ギタリストとしてギター馬鹿の道を歩む中でクラプトンはギタリストとしての道ではなくボーカリストとしての道を最終的に選んだ。
このアルバムにはギタリスト・クラプトンのクリーム時代から5曲、スーパー・ユニット、ブラインド・フェイスから1曲、デレク&ドミノス時代から2曲、ソロ時代からは3期に分けて11曲の全19曲が収められている。
普通、ベスト盤というとCDプレイヤーのランダム選曲を使って順不同で楽しむという楽しみ方もあるのだが、このベスト盤に関しては1曲目から順番に聴くことをお奨めしたい。時代の流れ、クラプトンの変化が十分に楽しめるからだ。1曲目から聴くにつれてのクラプトンの変化を円熟味とするか、あるいは堕落とするかは聴く人のクラプトンへの思い入れによっておおいに違うかもしれない。だが、いずれにしても選曲に関しては素晴らしいので、どちらの立場で聴いても満足できるアルバムだ。
01.I FEEL FINE
02.SUNSHINE OF YOUR LOVE
03.WHITE ROOM
04.CROSSROADS
05.BADGE
06.PRESENCE OF THE LOAD
07.BLUES POWER
08.AFTER MIDNIGHT
09.LET IT RAIN
10.BELL BOTTOM BLUES
11.LAYLA
12.I SHOT THE SHERIFF
13.LET IT GROW
14.KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR
15.HELLO OLD FRIEND
16.COCAINE
17.WONDERFUL TONIGHT
18.PROMISES
19.I CAN'T STAND IT
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