ハンニバル / ネタばれ度:★☆☆

ジョディ・フォスターが好きなのでジョディ・フォスターのクラリスではないこの映画にはあまり興味も期待もなかったのだが「羊たちの沈黙」の続編と聞くとついつい映画館に足を運んでしまったのだった。
「羊たちの沈黙」公開から10年後に制作されたこの映画はレクター博士が失踪・逃亡してからも10年が経過したという設定になっている。だから見る側も10年ぶりに、画面の中でも10年ぶりに、と同じ時間を共有することができる。それ自体は面白いのだがどうも画面から10年という歳月を感じることができない。せいぜいレクター博士役のアンソニー・ホプキンスがそれなりに歳をとったな、というところでしか時間の経過を感じることができなかった。もちろんコレが一番大事なこと(狙い)なのかもしれないが・・・。
だから、画面上でいくら10年という歳月を強調してもせいぜい1年ぐらいにしか感じることができなかった。あと何よりも、クラリス捜査官役のジュリアン・ムーアに魅力を感じなかった(個人的にジョディ・フォスターが好きということで)のも手放しで面白かったと言えない理由かもしれない。魅力がないと言うこととは違うかもしれないが、ジョディ・フォスターのクラリス捜査官のイメージがあまりにも強いことでジュリアン・ムーアのクラリス出演シーンは前作「羊たちの沈黙」でのクラリスに比べてだいぶ少なかった。その分、映画のタイトル通り「ハンニバル」レクター博士が中心の映画になったと言うことなのであろう。ただ、タイトルがそうであるとは言え、「羊たちの沈黙」の「続編」という以上はレクター博士とクラリス捜査官は最低でも五分五分の比率で描かれていて欲しかった。
などなど、相変わらず文句が多いのだが、映画としては面白かった部類に入るのでコレはあくまでも可愛さ余って憎さ・・・と言うこととしたい。
監督がリドリー・スコットであることも映画が始まるまで知らなかったのでタイトル・シーンから得をしたような気にもなれた。「エイリアン」や「ブラック・レイン」そして「ブレード・ランナー」でもお馴染みの白い霧と暗い画面を見事にドッキングさせるシーンなどアチコチでリドリー・スコット節も見られるので映画のストーリー以外でもじゅうぶんに楽しむことができた。
一市民に身を転じているレクター博士の正体に迫る刑事役で「イノセント」に出ていたジャンカルロ・ジャンニーニが出ていたことも見ていて初めて知ったし個人的には楽しい発見がたくさんある映画だった。
レクター博士の過去の犠牲者で唯一生き残った大富豪メイスンのおぞましい姿。レクター博士とクラリスが携帯電話を通して10年ぶりにコンタクトした時のシチュエーション。クラリスを落とし込もうとする司法省の役人クレンドラーの姿。そしてレクター博士の冷酷な残忍性による犠牲者の姿を目撃してしまう日本人観光客の団体。ラストの飛行機内でのエピソード。笑えたり驚いたりとエンターテイメントに長けた映画であった。ただ、ラスト・シーンは原作と大幅に違うらしいのだが、個人的には最後までクラリスもレクター博士も腕を映さないまま映画を終えて欲しかった。
この映画を見る前に食事をするべきか、見た後で食事をするべきか、この映画を見る上で一番重要で難しいことかもしれない。ただ、見た後に食事をするのであれば食事のメニューは相当、限られたものになることだけは間違いないだろう。
2000年作品。131分。監督:リドリー・スコット。
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