女性アスリートのマスコミ露出
それは、女性アスリートのことだ。シドニー五輪で好成績の選手達が当然のことだが注目されている。しかし、残念なことにシドニー五輪ほど好成績は残せていない。シドニー五輪がピークだったと言うこともあるのだろうが、はたしてそれだけなのだろうか。
シドニー五輪が行われたのが昨年の10月。思わぬと言っては申し訳ないが、期待以上の好成績を残した日本水泳女性選手たちは、五輪終了後も大人気でマスコミに出まくった。ちょうど、雑誌も正月用。テレビも正月用特別番組制作の時期だったので彼女たちにも出演依頼が殺到したのだろう。シドニー五輪を目指し、きっと血の滲むような努力や練習をしてきたことだろう。そして目標としていた五輪で大きな成果をあげたのだろうから、息抜きとしてマスコミに露出することをとやかく言うことはできない。ただ、このマスコミ露出ほど厄介で難しいものはない。
彼女たちがバラエティー番組に出る場合、あくまでもシドニー五輪出場選手としてゲスト扱いで出演する。従って扱いも良い。しかも、周りには今まで一般の女の子たちと同じようにテレビや雑誌でしか見ることのできなかった芸能人たちがたくさんいる。普段、ほとんど縁のないヘアメイクやスタイリストが自分たちを綺麗な女性に変身させてくれる。すぐ側にはキムタクや中居くんがいる。お笑いのアノ人もいる。その上、自分たちにちゃんと話しかけてくれる・・・。このような状況を体験してしまった若い彼女たちの心にどのような気持ちが芽生えるのだろうか。
恐らく、普通の若い女性が望むであろう欲望を全て封印して、水泳という競技に挑んできたのだろう。その苦労や努力が本番のシドニー五輪での好成績を生んだのだろう。そのように封印してきた女の子が今まで全く体験することなかった未知の世界を体験するのである。それは、まさに「蜜の味」だったのかもしれない。
その心の中に入り込んでしまったわずかな(しかし、意味としてかなり大きなもの)何かが彼女たちのその後の練習や生活に何らかの違った影響を与えることはなかったのだろうか。アスリートたちの話を聞くと、決勝レースに出られるか出られないかの8位と9位の差。表彰台に上れるかどうかの3位と4位の差はとてつもなく大きなものだと言う。その差は運だけではないとも聞く。今回の世界水泳を見る限り、その微妙な差に対する何かが日本水泳女子選手の前に大きく立ちはだかっているようにも見えた。
マスコミ(芸能界も含めて)は、自分たちに都合の良いものは持ち上げる。しかし、ある日突然、手のひらを返したように今度は非難の側に回る。同じ水泳の千葉すずなどその良い例だろう。今回の世界水泳で期待に応えられなかった日本水泳女子選手たち。彼女たちは今、何を思っているのだろう。彼女たちが再び、真のアスリートとしてもう一つ上の目標に向かうことはできるのだろうか。
そして、同様にいやそれ以上にシドニー五輪で最高の栄誉を勝ちとった陸上女子マラソンの高橋尚子。彼女の今後にもとても興味がある。その点、女子柔道の田村亮子はやはりスゴイというべきなのだろう。ただ、田村亮子と日本水泳女子選手や高橋尚子の大きな違いは、競技がタイム・トライアルかそうでないかの違いなのかもしれない。
世界水泳開催のさなか、電車の中刷りポスターで女子水泳の田中雅美が綺麗にお化粧して表紙に映っている姿を見て、ちょっとつらい気持ちになってしまったのであった。
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インターネットで募金
そして、イレちゃんを助けるためにお金を集めようと日本人女性が募金運動を開始した。彼女はソウル在住の方でSEOUL NAVIという韓国関連のサイトを主宰する会社に勤務しているようだ。
私は、募金の類には縁がない。お金の流れが不明瞭で今イチ好きじゃなかった。だから小学生の頃も赤い羽根募金などしたことなかった。ボランティアという言葉にも抵抗があって積極的に参加したことがない。だから今回のこの呼びかけにも戸惑いのほうが大きかった。
ただ、小さな命がお金と時間と言う制約で左右されるのかと思うとちょっといたたまれない気持ちになった。そして、自分の愚ページのTOPで紹介するとともにネットで仲良くさせてもらっているお仲間の掲示板などに自分のTOPページを見てくれるように書き込みをさせてもらった。ここまでの行動は思いつきでの勢いだった。
そして自分の友人・知人のネットワークを使えば目標金額を達成することはそう難しくないようにも思えた。ここで初めて冷静な気持ちになった。自分が呼びかけをした時に友人・知人が疑問に思うことや質問に自分自身がどの程度答えることができるだろうと考えた。するとあまりに情報量が少ないことに気づいた。
■ お金の準備がなくてもドナー探しはできるものなのか。
■ なるべく早くというけど、いつを目標にお金を集めるのか。
■ 目標金額に達成できなかった場合はどうするのか。
■ 500万円足りないというが結果的に400万円集まって100万円足りない場合、韓国では手術してもらえないのか。
■ 逆にお金が多く集まった場合はどうするのか。
■ 地元韓国ではどういう活動をしているのか。
など、自分が呼びかけをされる立場で考えつく疑問だけでもたくさんあることに気づいた。韓国にお住まいの方たちにもこの件での問い合わせをしてみた。そして、それらの疑問について自分では何ひとつ答えることができないことにも気づいた。
その結果、自分としては積極的に周りの人を巻き込むことはできないと判断して、この募金運動が行われている事実を知らせることのみ(しかも期間限定で)のお手伝いするにとどまった。そしてメールや掲示板で書き込みさせてもらったお仲間には自分の気持ちをお伝えした。
その後、募金運動は大きな輪となって広がり、各メディアなどでも取り上げられたようで目標金額も大きく上回り、1000万円以上の善意の募金が集まったようだ。
早い時期で目標の500万円は達成できたようなので、イレちゃんは無事手術も終わったのだろうと思って、久しぶりにオフィシャル・サイトを覗きにいって驚いた。
何と手術はまだしていないし、あげくの果てに適合ドナーについても探し直しと書いてあった。6月中に手術しないと命が危ない。適合ドナーもいるのであとは手術費用のみ。と言っていたのは何だったのだろう。
善意で募金された方たちの前向きな発言が今でも掲示板には書かれていた。「諦めないで頑張りましょう」「きっと良い結果が出ますよ」など様々だ。これらの善意ある人たちに対して募金呼びかけ者はもっと丁寧な説明をするのが使命だと思うのだが、残念ながら呼びかけ者は客観的な立場でいるようだ。この呼びかけ者も心優しい善意から事を起こしたのだろうがちょっとホスピタリティがなさすぎるように感じる。「善意」や「ボランティア」という言葉で全てが解決できるわけでもないし、人に呼びかけてお金を集めることの重さをもっと認識すべきであろう。
今後、この募金活動がどのような終わり方をするのか分からないし、イレちゃんにどのような運命が待ち受けているのか想像もつかない。ただ、今回分かったことは、インターネットを使う募金は他の対面募金などよりももっと細かい心づかいが必要だということ。
インターネットは即効性があり便利だ。しかし、使う人の気持ち、志しひとつでどのようにも化ける可能性を含んでいるので、考えようによっては恐ろしい便利グッズでもあるわけだ。
■ 2001.10.28追記:
イレちゃんは、けっきょく移植を受けることなく2001年10月28日午前8時48分他界した。
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