トイレはどこですか? / 小屋一平

外国へ行く人はこの"トイレガイド"が必携!!
私たちが日常生活でなにげなく使っているトイレ。洋式?和式?・・・でもトイレが世界共通だと思ったら、それは大まちがい。国がちがえば文化も異なる。文化の数だけトイレもあるのです。はたして、あなたは遠い異国の土地でトイレを見事に見つけ、無事に用を足すことができるでしょうか?
こんなことが本の帯に書いてある。たしかに旅先で不安なことといえば食事とトイレかもしれない。食事に関しては身ぶり手ぶりである程度はどうにかなるだろう。しかし、トイレを探して用をたすとなるとなかなかスムーズにことは進まないかもしれない。
この本は、著者の小屋一平さんが訪問国20ヶ国以上の経験を元に「世界おもしろ比較文化紀行?」として発表したもの。トイレを見ればその家のことが分かるとかも言うし、飲食店、レストラン、会社などもトイレを見ることによって何となく見えてくるものがあるように思える。
このトイレ文化を国レベルの文化にそのまま当てはめることは危険かもしれないが、切り口としては大変面白いし、読んでいて頷いてしまう箇所がいくつもあった。
この本では各国のトイレ事情を写真を元に紹介しているが、次のような用語定義が決められている。
■大便器の属性
◆形状・・・用をなす時の姿勢
しゃがみこみ式(和式)
腰掛け式(洋式)
折衷式
◆後処理の方法・・・用をたした後のお尻の浄化方法
紙ふき式
水洗い式
岩ふき式(何じゃコレ?)
馬糞ふき式(・・・?)
◆消却方法・・・便が消えてなくなる仕組み(但し、見た目状)
水洗式
落下式
スロープ式
放置式
◆便座の向き・・・扉を閉めてどちらを向いて用をたすか
奥向き
手前向き
横向き
◆扉の個室隠蔽率・・・扉を閉めることによりどの程度隔離されるか
100% 普通の個室
80% 欧米などの足下だけ見えるもの
0% 中国のためにできたパーセンテージとのこと
◆仕切りの個室隠蔽率・・・隣の個室との隔離度
100%
70%
50%
0%
■小便器の属性
◆便器の有無・・・便器があるかないかということ
◆形状・・・便器の形のこと
壁あて型(角型、接地式角型、あさがお型)
受けますよ型
これらの定義により各国のトイレ事情が紹介されている。
この本は面白いが、読む時間帯によってはお奨めできない場合がある。それは食事の前や後だ(もちろん食事中なんて論外)。くれぐれもお腹の空き具合がなんともない時にだけのみ読むことをお奨めする。
それと、読みながらトイレを見比べているうちに感覚が麻痺してくる自分がいるので要注意だ。日本のトイレを常識として各国のトイレを見比べると、5段階評価で「3」だなと思って見ているトイレ(3と言っても5を基準にするので「汚い」と思うのだが)もいろいろ見ているうちに、そのトイレがいつの間にか「4」や「5」に見えてくるのだ(コレなら大丈夫だ耐えられるという意味で)。それほど世界の国々のトイレ事情は様々なのだ。
そしてこの本では、各国言語で「トイレはどこですか?」を23種類紹介もしている。
目次はというと:
■ 比較文化の旅へようこそ
■ はじめに
■ 第1章 東アジア
〜韓国
〜中国
〜モンゴル
■ 第2章 ヨーロッパ
〜ロシア
〜ドイツ
〜オランダ
〜ベルギー
〜イギリス
〜アイルランド
〜フランス
〜スペイン
■ 第3章 西〜南アジア
〜トルコ
〜エジプト
〜クウェート
〜パキスタン
〜インド
〜ブータン
■ 第4章 東南アジア・オセアニア
〜ミャンマー
〜タイ
〜カンボジア
〜ベトナム
〜オーストラリア
〜インドネシア
〜マレーシア
〜シンガポール
■ あとがき
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WISH YOU WERE HERE / PINK FLOYD

ピンク・フロイドはいつの時代も自分の傍に居続けているバンドだ。メンバーの容姿については特に語るほどでもないし、むしろ悪いほうだろう。サイケデリック・サウンドという呼び名でデビューした彼らは後にプログレッシブ・ロックと言われるようになり、そのカテゴリーの代表バンドとなった。21世紀になっても活動は続けているみたいだが、日本での公演は1980年代の終わりごろを最後に実現していない。なかなか見る機会はないかもしれないが、一度ぐらいは彼らのライブを体験してみるのも悪くないだろう。ロックのコンサートのまた違う一面を見ることができるかもしれない。
この「WISH YOU WERE HERE」は日本では1975年に邦題「炎(あなたがそこにいてほしい)」として発売された。リリースされたのが75年の何月だったのか、はっきりと覚えていない。ただ、自分としてはこのアルバムには冬のイメージを強く持っている。
「音楽は歴史のモノサシ」が私の持論なのだが、このアルバムを聴くたびに1975年の冬の下北沢の街並みが浮かんでくる。一緒に遊んでいた友人の顔も見事なまでに甦ってくるから面白い。きっと誰にでもこのようなアルバムってあるのでないだろうか。
このアルバムのメインとなるのはオープニングとエンディングとに分かれている「Shine On You Crazy Diamond」という曲だ。この曲はいまだにピンク・フロイドのコンサートのオープニングを飾ることが多い。この曲は元メンバーだったシド・バレットのことを歌った曲としても有名だった。彼がどのような理由でバンドを脱退したのかは不明だが、タイトルから見るかぎりピンク・フロイドに大きな影響を与えた才能あるメンバーだったのだろう。
ちなみにこの曲は2001年秋のドラマ「水曜日の情事」でも石田ひかり演ずる操(みさお)の狂気?恐さを表す場面でも使われていたりもした。
アルバム・カバーは、ピンク・フロイドとは切ってもきれない関係であったアート集団のヒプノシス。彼らはピンク・フロイドのアルバム・カバーのほとんどを手がけていたし、その作品は発売のたびに意図を問われるようなデザインだった。
背中を炎に包まれながらビジネス握手をするこのアルバム・カバーの意味をあれやこれやと論じていた当時の音楽雑誌も今では懐かしい。「あなたがそこにいてほしい」つまり、そこに現実にはいない人との関わりを表現しているということのようだ。と書いても私自身、意味については全くよくわかっていないのである。
今に思えば、裸の王様のようにピンク・フロイド&ヒプノシスの単なるお遊びにマスコミや我々がただ躍らせられていただけなのかもしれない。
75年発売のこのアルバム、2002年の今からすると約20年前の作品だ。驚くことに少しも色あせていない。それどころかロックが持つエネルギーのようなものを感じることができる。それもビート、ガンガンのエネルギーのではなく、内に秘められた骨太なエネルギー、パワーを感じることができる。
2002年は国会を見るまでもなく、社会も混乱のスタートを切った。こんなアルバムを聴いてパワーを内蓄し、心を洗ってみるのも良いかもしれない。
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