社会経済生産性本部(何じゃ、コレ?)によると、今年の新入社員の傾向は「デイトレード型」と言うらしい。これは、一日も何度も、値上がりしそうな株銘柄を買い換えをして利益を得ると言うデイトレードに例えてのもの。要するに、就職した会社とともに育っていこうという考え方ではなく、常に良い待遇、良い条件を求めて転職を考えていくと言うことであろう。この傾向は、今に始まったことではなく数年前から見えていた傾向である。
社員一人育て上げるのにかかる育成予算を考えると、経営者にとっては何とも厄介な傾向で頭の痛いことである。死語でしかないが「企業戦士」を育てようなどと古いマニュアル片手に旗を振っても虚しさばかり残ることになってしまう。早期退職を前提の者に、どのように自社の特性に馴染ませるか・・・この際、真剣に考える必要があるだろう。ただ、ここで注意すべきは「馴染んでもらう」などの消極的なことではないことだ。
会社の特性を無理強いせずに、どのように社員の気持ちを触発させていくことができるか?これは難しいことだが、「社員から歩み寄らせる」ことが一番ではないかと思われる。例えば、「コレは美味しいから食べなさい」ではなく、「この人は、コレを美味しいと思う人なんだ」とまず理解させる。その上で、「やっぱり美味しい」と思うのであれば、この社員は会社に一歩近づくのである。近頃の若い子を見ていると、意外に芯が強い。もっと言えば、けっこう頑固である。頑固者は、若い若くない関係なく、自分自身が理解・納得できるモノにはかなりの愛着を持つものである。従って、まず社員自身のフィルターを通していろいろ判断させる材料を経営側が示せば良いのではと思うのである。
特に小規模事業体であれば、会社が目指す方針や社長の指針などを押しつけるのではなく、オープンにして見せることが大事かと思われる。かと言って、社員を夜な夜な食事や飲み会の席に連れ回すというのは社員にとって迷惑でしかない。
では、どのように示していくか・・・。とある会社の社長さんが、業務用ではなく個人の書き留めというスタンスでblogを継続しておられる。これは、新しいタイプの社長と社員のコミュニケーション・ツールだと思い常々感心している。blogに日々の日常を書く中には、いたって個人的な趣味のこともあるだろうし、もちろん、会社での出来事や社員に思いをはせることなどに触れることもあるだろう。それらを、社員達はこっそり見ていたりすれば良いのである。「全員読むように」では、無理強いになってしまうから、blogの存在だけ知らせておけば良いのである。だから「こっそり」が一番良いのである。
ウチの社長は、あんなものが好きなんだ。あれが嫌いなんだ。今朝のミーティングの真意はそうだったんだ。ゲッ!女の趣味悪い・・・こういうものから、社員が自身のフィルターを通して、自分がこの会社に(この社長に)身を委ねて良いのか判断すれば良いのである。首を鎖で繋いで一緒に歩んだとしても、精神が伴わなければ運命共同体にはなれないからね。
決して社員に媚びを売る必要はないが、「とにかく俺についてこい!」的な精神論だけでは人は使えなくなってきているのは事実なのである。この際、経営者は、もう一度「自分のウリ」について考えてみるべきではないだろうか。ウリがなきゃ、人は動かないし、ついても来ない。これは、時代に関係なくいつの世にも言えることなのでは・・・。
- 関連記事
-