燃えろ!新日本プロレス

うわ、嫌なモノを見つけちゃった。集英社とテレ朝が手を組んで新日本プロレスのDVDブックをリリースし始めた。その名も『燃えろ!新日本プロレス』。
もう何年もプロレスから遠ざかっているが、1980年代前後は夕刊スポーツ紙『東スポ』も宅配してもらってたし、廃刊になった『週刊ファイト』も年間契約で愛読してたほどプロレスファンだった。
だからと言うことでもないが、創刊号のDVDに収録されてる4試合。猪木vsハルク・ホーガン、猪木vs前田、アンドレ・ザ・ジャイアントvsスタン・ハンセン、タイガーマスクvsダイナミト・キッドのうち、3試合(猪木vs前田以外)はライブで会場に見に行ってるほどだ。
プロレスが好きって言うと、アンチプロレスらしき人のほとんどは、「八百長なんでしょ?」と馬鹿にしたように質問してくる。
んー、答えづらいなぁ、この質問。正確に言えば、「八百長ではないけど、演出はされてる」なのよね。それを八百長って言うんだよ!!って言われると、二の句は出ないので、話はそれ以上進まない。
テレビの旅番組やグルメ番組で、例えば『もしもツアーズ』で、数名の出演者が絶景ポイントに勢揃いして、旗を持ったナビゲーターの女の子が「まだ、見ないでくださいよぉ。いいですかぁ・・・。ハイ!見てください!」。出演者一同、後ろを振り返って「おぉー!これはスゴイ!」なんてシーン、よく見かけるでしょ?
おいおい、そのビューポイントまで全員目隠しで来たのかい?と疑問が出るではないの?でも、これを「ヤラセ」とは言わないでしょ。演出内の予定調和で済ませてしまうのが、番組の作り手と視聴者側の暗黙の了解となっているはず。
プロレスとて、これと同じ。いくらプロレス好きな人であっても、誰一人本気で試合してるなんて思ってはいない。もっと、違う次元でプロレスを楽しんでいるのである。
創刊号の「猪木、舌出し失神事件」なども、プロレス者としては、予定調和が崩れたことに大きな意味を感じるのである。この時、猪木が失神してしまい、一番慌てたのは、何と言っても勝者のハルク・ホーガンだ。だって、負けるはずの試合に勝ってしまったんだから・・・。猪木が失神さえしてなければ、猪木を更に攻撃して「反則負け」できたのに、さすがに失神していると攻撃できなかった・・・。そんなところに面白さを見出すのがプロレス者なのだった。
遙か若かった頃、プロレス会場に見にいくと、相撲ほどではないにしろ第1試合から数試合は客がガラガラ。そして、日本人の若手同士の15分1本勝負とかの試合が組まれている。
試合の途中で試合経過時間を知らせる場内アナウンスが鳴り響く。「5分経過、5分経過」なんて。もちろん10分経過すると「10分経過、10分経過」って。別に何の違和感もなく聞いてたが、ある時突然、ハッと思ってしまったのである。
それは、試合数が進んで日本人と外国人(ほとんどがアメリカ人)の対戦になった時のことである。それまでの場内アナウンスと明らかに違うのである。試合が5分を過ぎると「5 Minutes Past.5 Minutes Past」と英語のアナウンスになるのである・・・。
おいおい、この時間経過のアナウンスって、客に向けてのものではなく、リング上で試合をしてる選手に向けてのものなのかい!?
驚きの瞬間であったことに加え、プロレスの成り立ち方を初めて知ったのであった。そして、世の中の仕組みのほんの一部を知った瞬間でもあった。
そんな時代を思い出すためということではないが、少なくても創刊号は買ってしまうだろうなぁ。『燃えろ!新日本プロレス』。
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