
由紀さおりさんの一週前の『SONGS』は、タイガースだった。この頃の沢田研二の太り体型は哀しくも悲しくもあるが、世代的には見逃す訳にはいかないという使命感にも似た気持ちで録画を見た。数日前に、この『SONGS』の時のタイガースで武道館公演があったとか。そうか、この番組はプロモーションであったか・・・。
さて、タイガース。懐かしさの思いが強く、とても批評的な立場などで見ることは出来ない。これが思い入れというヤツか。
見て驚いたのは、ドラムスの瞳みのるが復帰してたこと。よもや、再びタイガースに名を連ねることはないと思っていただけにビックリ。そうなると、益々、加橋かつみの不参加が残念である。
何となく、モヤッとして釈然としなかった加橋かつみのタイガース脱退劇はもう過去のものとして、時間が様々なカドを洗い流して丸くしてはくれないのだろうか・・・と思わざるを得ない。
この番組、鼻の奥がツンとしたのは、ベースの岸部一徳。今では、俳優業で大成しているにもかかわらずバンドの一員として、他のメンバーと同じステージに立っていた。しかも、大いに恥ずかしい王子様的なコスチュームにまで身を纏ってだ。なかなか出来ないことだと思う。大物役者の中には過去の恥ずかしい姿を封印する者が多いだけに立派なことである。
自称ロック・ミュージシャンとしてデビューしながら、ロック・スピリッツも棄てて役者に甘んじている者や、テレビに出ることはロックではない・・・みたいなことを言ってたくせに、時の流れに許しを請うてビールやコーヒーの宣伝にまで出ている似非ロッカーもどきが多い中で、この岸部一徳の姿は神々しいばかりだった。簡単な言葉で言えば、器の違いをまざまざと見せつけられた気がした。
そして、もう一つ目についたのは、今時代のタイガース、一曲演奏を終える度に、全員姿勢を正してお辞儀をしていたことだ。この律儀な姿に歌謡曲以上、ロック未満であった当時の彼らの芸能界のでの位置付けを垣間見た思いがした。
今時代では、古臭いことを「昭和してる」とか言われるらしいが、古臭くてけっこう。とことん、昭和の思い出に浸って生き抜いてやろうじゃないか。タイガースを見ていて、そんなことまで思ってしまったわい。
余談だが、80年代から90年代にかけて飯倉片町の『キャンティ』に行くと必ず加橋かつみが席に座っていたのを思い出す。そう頻繁に『キャンティ』に出入りしてた訳ではないが、行けば必ず彼がいた。その座っていた佇まいは今でも思い出すことが出来る。
彼もきっと、この番組やコンサートのことも当然耳には入ってきているだろう。いったい、どのような気持ちで受け止めてるのだろうか。もうオリジナル5人での復活はあり得ないのだろうか・・・。
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