
いわゆる「袴田事件」の再審が決まった。あくまでも再審が決定されただけで、これから審議が行われるのだから不用意な発言は慎むのが道理か。
この袴田さんが拘置所から出てくる姿を見た瞬間に思い出してしまったのが、ボブ・ディラン(Bob Dylan)の「ハリケーン(Hurricane)」という曲。1975年(昭和50年)にリリースされた『欲望(Desire)』に収録されている曲である。
この曲は、1966年(袴田事件が起きた年と同じ)にルービン・カーターという黒人が、ニュージャージー州で3人の白人を銃で撃ち殺したとして逮捕された。凶器は発見されておらず、証言者の信用にも疑問が持たれていたが陪審員は全員が白人であり、状況はカーターに不利であった。裁判の結果、カーターは有罪とされ終身刑に服する事となった・・・ことをテーマにしたものである。
その後、事件の証人達が司法取引による偽証を告白したため再審となったが、証人は再び証言を翻し判決は前回同様の終身刑となった。しかし、カーターの支援者達により、カーターに有利な証拠が検察により隠蔽されていた新事実が発見された。カーターの支援者達は、違法な拘禁を防ぐための人身保護令状の発行を裁判所に求め、1988年、カーターは自由の身となった。
冤罪と言う語句が同じと言うことだけでなく、実は、カーターもまた袴田さん同様にボクサーであった(ルービン・ハリケーン・カーターというリングネームだった)。そして、奇しくも今日3月31日からボブ・ディランは、日本公演をスタートさせる。
偶然やこじつけなのかもしれないが、ルービン・ハリケーン・カーターが釈放されてから更に26年後に釈放された袴田さんの今世間に戸惑い順応しきれない釈放時の表情を見ると自分の頭の中でこの曲が流れてきた。
僕は、ボブ・ディランはほとんど聴かない。あまり好きじゃない・・・と言うよりも嫌いなほうのシンガーである。好きじゃないから彼が賞賛される理由が分からない。
でも、このアルバム『欲望』だけは持っている。オープニングを飾る「ハリケーン」を初めて聴いた時の驚き(鳥肌さえ立った)を今でも覚えている。この曲だけは別格。それほどサウンドも歌い方も歌詞もズシンとのしかかってくる。
歌詞の和訳をリンクしてみる。
コチラから。音源は、You Tubeにライブが幾つかあったが、ここで紹介するクオリティではないので、ぜひオリジナル音源を聴いて欲しい。
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