
年末・・・テレビつけると、とてもじゃないが画面を通していてもその空気に入り込むことができない。歳を取ったからだけなのか?あるいは今時のセンスが自分にはないのか?
ま、どちらも良いが見る気も失せてBSやCSにチャンネルを切り替えてみると、けっこういろいろな映画が放送されている。それも古い映画が・・・。何度も見た映画がだと、途中から見てもストーリーはもちろん分かるから暇つぶしにはうってつけである。そんな古い映画の中でも一番見入ってしまうのが1970年代の映画だ。
そんなことを考えてたら書棚で一冊の本を探していた。あったあった。見つけたその本は『70年代アメリカン・シネマ103』という本。
黄色い(山吹色)表紙にはタイトルに負けないぐらいの文字の大きさで注釈が書かれてる。
俺たちに明日はないから地獄の黙示録までこの13年間のアメリカ映画をみつづけてきてぼくたちは幸せだった。
70年代のアメリカン・シネマは<映画>との最高の出会いをぼくたちにもたらしたのだ。
そのエキサイティングでグレートな103本が集まった!
何とも痒くなってくるような大げさなセリフである。しかし、この本に関しては決して大げさなセリフではないのかもしれない。そして、この本はかなり自分自身の肌に合う本である。引越しという大きなイベントによって断捨離された多くの本の中でしっかり残ったこの本。生き残った理由は、収録されている映画の選別が自分の趣味に近かったからだ。
この本は表紙の注釈にもあるように70年代のアメリカ映画を紹介した本だ。しかし、実際は1967年からの作品が紹介されている。理由は70年代の映画を象徴する「ニュー・シネマ」という言葉を誕生させた「俺たちに明日はない」の公開が67年だったからだ。70年代と言いながら67年からの作品を取り上げている。これだけでも看板に偽りあり!と言われかねないのに、この本にはもう1つ大きな嘘がある。それは、103本の映画としながら実際には104本の映画が紹介されているのだ。理由は、79年11月に編集を終了した後の79年年末にスピルバーグの「1941」が公開されたので急遽それを入れてしまい104本になったというのだ。何ともいい加減な本ではある・・・なのに、お気に入りの本なのである。
この本に収録されている70年代ニュー・シネマを104本はというと・・・。
■1967:
俺たちに明日はない
卒業
■1968:
猿の惑星
2001年宇宙の旅
泳ぐ人
ローズマリーの赤ちゃん
ブリット
フィクサー
■1969:
真夜中のカーボーイ
ワイルドバンチ
イージー・ライダー
明日に向かって撃て!
ひとりぼっちの青春
■1970:
パットン大戦車軍団
大空港
ウッドストック
M★A★S★H・マッシュ
いちご白書
ファイブ・イージー・ピーセス
エルビス・オン・ステージ
ある愛の詩
真夜中のパーティー
■1971:
バニシング・ポイント
おもいでの夏
ジョニーは戦場へ行った
黒いジャガー
フレンチ・コネクション
ラスト・ショー
屋根の上のバイオリン弾き
時計じかけのオレンジ
ダーティーハリー
■1972:
ホット・ロック
キャバレー
ゴッドファーザーpart1・part2
男の出発
ディープ・スロート
脱出
大いなる勇者
ロイ・ビーン
探偵・スルース
ポセイドン・アドベンチャー
激突!
■1973:
ロング・グッドバイ
スケアクロウ
ペーパー・ムーン
アメリカン・グラフィティ
ジーザス・クライスト・スーパー・スター
燃えよドラゴン
追憶
エクソシスト
スティング
■1974:
続・激突!カージャック
カンバセーション・盗聴
ザッツ・エンタテインメント
チャイナタウン
ハリーとトント
ファントム・オブ・パラダイス
サブウェイ・パニック
悪魔のいけにえ
フロント・ページ
タワーリング・インフェルノ
ヤング・フランケンシュタイン
ロンゲスト・ヤード
■1975:
アリスの恋
JAWS・ジョーズ
ナッシュビル
狼たちの午後
カッコーの巣の上で
バリー・リンドン
■1976:
グリニッジ・ビレッジの青春
タクシー・ドライバー
ファミリー・プロット
大統領の陰謀
がんばれ!ベアーズ
オーメン
愛のメモリー
キャリー
ネットワーク
ロッキー
■1977:
アニー・ホール
スター・ウォーズ
ジュリア
未知との遭遇
愛と喝采の日々
グッバイガール
サタデー・ナイト・フィーバー
■1978:
帰郷
ラスト・ワルツ
ミッドナイト・エクスプレス
ビッグ・ウェンズデー
天国から来たチャンピオン
アニマル・ハウス
ウィズ
ディア・ハンター
スーパーマン
■1979:
ウォリアーズ
チャイナ・シンドローム
マンハッタン
エイリアン
地獄の黙示録
1941
こうやって収録されている映画を羅列してみると、何でこの映画なの?と言うのがあったりする。しかし、本の冒頭にこんなことも書いてあった。
作品の選出にあたっては、ベスト・テンの上位を占めたものと、大ヒットした話題作は網羅し、かならずしも質的にすぐれたものではなくとも、この時代のアメリカ映画を語るのに不可欠と思われる作品も加え・・・と。
全くその通り。映画も音楽同様に、見る人の「時代のモノサシ」であり、記録より記憶なのである。
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