殺処分という言葉があることが問題

以下は、『TOKYO ZERO』と『ddog actually』からの引用である。
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「ドイツでの犬や猫の殺処分数はどのくらいですか?」と、ドイツ人の犬の飼い主にこんな質問をすると、きっと驚いた顔をされるだろう。何故なら、現在のドイツでは、動物をまとめて殺処分するという考えがない。もちろん殺処分場もない。
ドイツに最初の動物保護団体が創立されたのが1837年。1871年には200団体、現在は700もの動物愛護団体が存在する。そして法律に関しても、ナチス時代に政治的目的で制定された動物保護法だったが、政権崩壊後も生き続け改正されながら現在にいたっている。そんな歴史を持つ現在の動物愛護法では、動物の殺行為について、以下のように記されている。
脊椎動物は麻酔下においてのみ、あるいは状況により痛みを回避することでのみ、やむを得ず殺されることとする・・・と。
この「やむを得ず」が重要で、日本のように「引き取り手がいない」、「保護する期限が過ぎた」などの人間の都合による殺処分行為は認められていないのだ。「やむを得ず殺されること」の実例をみても
1.病気による場合:
獣医師による診断で正当な理由が必要。獣医師が不治の病と診断のうえ安楽死を決定した場合でも、死後、犬や猫の遺体を病理検査し、獣医師の下した診断と同じ病理結果が得られなければ罪に問われる可能性があり起訴対象となる。
また、不治の病だとしても、投薬により苦痛を伴わずに日常生活を送ることが可能な場合は、安楽死の対象にしない。
2.人間に危害を加えた場合:
動物の行動療法の専門家の見解によって、問題行動の改善が難しいと判断されない限り、殺処分されることはない。リハビリとトレーニングによって改善できる場合は、時間がかかっても日常生活を送ることができるようにする。
このようにドイツでは、動物保護の観点から第三者にも説明できる正当な理由がない限り殺処分は認められていないのである。
※但し、EU圏で社会問題となっている野犬などは、保護法の対象となっていない。
それでは、ドイツには飼えなくなってしまった犬や猫はいないのか?いや、そんなことはない。
ドイツでは、飼い主の死亡などやむを得ない理由で飼えなくなってしまった動物は、日本のように殺処分センターとなってしまっている動物保護センターではなく、ドイツ国内に約1000以上ある民間の「ティアハイム」で保護され、新しい飼い主との出会いを待つことになる。ティアハイムに預かってもらえる期限はない。そう、日本のように「命の期限」はないのである。
もう一つ、日本との大きな違いがある。
新しい飼い主に引き取られている割合が、日本の動物保護センターとドイツのティアハイムでは圧倒的に違う。
なんとドイツでは、ティアハイムで保護されているうち、90%以上が新しい飼い主に引き取られているとか。
日本で2012年度、全国の自治体に捨てられた犬猫の数は22万2883頭。うち殺処分されたのが17万2360頭。殺処分率は77.33%となる。そして、新たな飼い主に引き取られていった犬猫は3万3096頭。14.84%である。ドイツの90%に対して、日本はわずか14.84%・・・。
その一番の要因は、ペットショップでの犬や猫は買えないということ。 ドイツでは、法律で一部の特別地区を除いて生体販売は認められていない。犬や猫を飼いたい人は、ブリーダーかティアハイムで譲渡してもらうしかないため、ペットが飼いたい人は、まずティアハイムを訪れるのが一般的とされている。
そんな悲観的な日本でも殺処分される犬や猫の数は減少傾向にあるのも事実。
日本では、40年前、信じられないことに年間で115万頭以上の犬や猫が殺処分されていた。最近では、北海道の旭川を始め、神奈川県の川崎、平塚などの動物保護センターで殺処分年間ゼロを達成するなど着実にその数は減っているとか。しかし、それは本当にごく一部の動物愛護活動に携わる人の努力と苦労の賜ものでしかない。今でも毎日700頭、年間16万頭もの罪もない命が奪われているのが現実である。
殺処分ゼロにするために根本的に変えるべきこと。
法律の改正ももちろん必要。ペットショップではなく、保護センターにいる「保護犬」「保護猫」を家族として迎えるようにすることももちろん大切。
言うのは簡単だ。しかし、一番初めに変えなくてはいけないのは、「殺処分があるという前提」でモノを考えている日本人すべての意識である。ドイツのほとんどの人は、日本の殺処分の現場など知るよしもない。もし、話したら誰もが驚くことだろう。日本の現状は、ドイツ人にとってみれば非常識極まりないことと言えよう。
「殺処分は、なくて当たり前」・・・と言う意識を国民全体が持つことが、まず始めの一歩なのかなと・・・。
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インターネットが当たり前の時代になってずいぶん経つのに、いまだに真偽の程が分からないことって多い。ドイツについても、いや、ペットショップは存在する。殺処分もある。犬税の反動なのか、道は糞だらけだ・・・などの話も伝わってくる。
真実はもちろん大事だし、見習うべきことは見習えば良い。殺処分についても同様で、何とか「日本式」が生まれて欲しい物である。
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