土下座と慈悲の心
元ジャニーズ系のタレントが大麻所持と使用で逮捕された。起訴され保釈金を納付して保釈された際の様子を相変わらずマスゴミは過剰に放送していたが、どこか、強気を助け弱気をくじく、まるでタケちゃんマンのようにしか見えなかった。記者という免罪符を身にまとい華やかなタレントの堕ち具合を見て脈拍は早まり高揚でもしているのだろう。
そんな好奇の目が集まる中、話題の主は釈放され警察署の前に姿を現した。黒のスーツを着て抑揚こそあるがわりと淡々と騒動を起こしたことを詫びていた。そして、最後に土下座をして詫びを終えた。
この土下座での詫びに賛否が起きているようだ。印象としては賛より否のほうが上回っているような感じがする。SNSなどでの否の投稿は、
・嘘ぽい
・演技過剰
・自分に酔っているようで不快
・そのまま三点倒立しろ
・ドン引くわ
など論点もなく感情的なモノが圧倒的に多い。
自分自身も土下座に関してはあまり良い印象を持っていない(このタレントの土下座についてではなく、一般的な土下座に対して)。テレビの解説者が「土下座は日本では最大級の謝罪の形」といっていたが、自分はまったくそうは思っていない。土下座は最も安易な謝罪の形としか捉えていない。
昔、接客の場でお客様が激怒して責任者を出せとの仰せだったので自分が出ていった。お客様は担当スタッフの非を烈火のごとくまくしたて、そのスタッフの土下座を要求した。
その場面で自分がいったのは、「お客様に不愉快な思いをさせてしまったことについては、なんの言い訳もありませんので私からもお詫びいたします。しかし、この者に土下座をというお客様からの言葉ではありますが、私の判断としては土下座はさせません。この者は、将来ある身ゆえ、土下座によって簡単にトラブルが回避できると思わせたくないのです。お客様に対して、なにがいけなかったのか、どうすれば良かったのかなどもっと深刻に受け止めさせたいと思います。お客様がご希望されている土下座については、この者に代わり私がいたしますので、この者の将来を思いやっていただきたく存じます」といって、両膝を落としたところでお客様から声がかかり、場面は収束へと向かった。
こんな経験もあるので、このタレントの土下座についても、ちょっと安易な気がしてしまった。謝罪ディレクターでも雇ったか?と思えるようなかなり上質な謝罪発言内容だっただけに残念に思えてしまった。土下座によって軽く見えてしまったかもしれない・・・。
個人的な感想はともかく、賛否の否はけっこう辛辣で驚いた。土下座云々の議論よりもまず思うのは、日本人は慈悲の心がずいぶん希薄になっているんだなぁということ。謝り方が間違いであったとしても、その気持ちを汲んで受け止めてあげようとの気持ちは少ない国民気質になってしまったのかなぁ。なんとも殺伐な感じがしてしまう。自分が正しいということは他人を裁けるのとは違う・・・このことをもっと考えてみたいなと自分自身に投げかけてみた。
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